(タイトルは特に決めていない)

京央惨事(ケイオウサンジ)コラム過去ログ書庫。

話題:『終演後のご挨拶』ってなんだ?

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のすり:前回に引き続き、今回もお便りからご紹介します。

前回お便りくださった『匿名希望』さんと前回記事の件でやり取りをしている際、こんなご意見をいただきました

 

 

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(前省)

 

【公演後の演者と観劇者の挨拶】

良く観劇後・終演後に役者様から

ご挨拶出来なくて…

Twitterで仰って来られることに違和感を感じてしまう時があり。

 

殆どの小劇場で舞台後に役者との時間を設けてますと終演後に言われているが

 

一般()or新参者

舞台を観に行く

アンケートに答える為に楽しかった事を記入

記載後には役者は来場した役者仲間or古参と談話中

話しかけづらい

帰るしかない

 

役者()&古参客

舞台を観に行く

アンケートは書かない

そのまま仲間の役者に話し掛ける

談義に花が咲いて盛り上がる

 

個人的には話し掛ける事は少ないので、アンケートを書く、書かない関係なく基本的には帰る。

でも他の一般のお客様ってどうなんだろう?

 

以前に友達(リアル)が出ている舞台を観て、差し入れを終演後に渡し、舞台の感想を…

『あっ差し入れ?、ごめん大事な役者のお客さんが来てるから』

差し入れ手にして10秒も経たずに離れてく友達。

 面白かった、つまらなかったも言えないで、

初日を迎えるまで友達は来てくれだけ言って来るけど「来てくれてありがとう」も言わずに去る彼女の後ろ姿を見る自分は寂しくなった。

 

こんな経験から自分は差し入れは開場・入場時に受け付けで渡す、終演後はどんなに感動したとしても、文字ではなく言葉で伝えたくてもアンケート書いて帰る。が定番になってしまってる。

せっかく良いものを観た後に傷付きたくないし。もともと人見知りだし。

でも本当は対面で伝えたいのは山々。

 

ただ1度遭った嬉しいこと

これは舞台ではなくライブだった

ライブハウスでも終演後にはミュージシャンと話せる時間はある。

その日も舞台と同じで終演後に挨拶ぜずにすぐにハコを出て、しばらく歩き数百メートル進んだ先まで自分の事を走って追い掛け、突如、後ろから声を掛けてきたのは出演者。

ギター片手にステージ衣装のまま『ありがとうございます』

ありがとうと言えるって素晴らしい。言われて嫌な言葉ではない。

その時も『こちらこそありがとう、自分のことはもう良いから他のお客様の所へ行ってあげて』と

いつもそそくさと退散してしまう自分だけどありがとうの言葉が嬉しいことには変わりない。

それは相手だって一緒。

 

役者との時間を設けてますと言う、あの場は、あの時間は、役者仲間・演劇関係者の【営業活動】の場だとも思っているのでそれを理解している所もあるけれど、それを見て声を掛けれない一般の客は何かを…寂しさを感じてしまうから客離れと言うものもあるのかな?とも思えるのもいつも感じる個人的感想。

また古参ファンが話していて離さず、新参者を遠ざけてしまいこれもまた客離れの傾向。

小劇場の中は舞台の上も下も演劇人の集まりになってしまう。

 

5秒だけでも『良かったです』と伝えれる客側の勇気と

5秒だけでも『良かったです』と話せる役者側の空気感

この5秒が重なるともっと良いのになって思う次第。

 

もっともっと良いものが広まっていくのだと思います。

 

2人は終演後のお時間についてどうお感じですか?

私はこの終演後問題を解決出来るときっともっと一般客は多少ながら増えるのではないかな?と思っています。

 

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のすり:ご意見お寄せくださり、ありがとうございます。……という『一般のお客さん』という目線からの言葉。なかなか面と向かってこういうこと聞けないから貴重だなと思いまして

南帆子:『終演後の挨拶』についてですね。

のすり:これさお便りの中にさ「差し入れ渡したら『大事なお客さん来てるから』って言って行っちゃった」ってあるけど。これは正直、ねぇなって思っちゃった。

南帆子:それ、私もないと思う。

のすり:これはショックだったと思いますよ。

南帆子:いや、たぶんだけど。これを言った役者さんて、この後に「ちょっと待っててくれる?」って言いたかったのかも知れない。本当は。

のすり:あー。

南帆子:いや分かんないよ? ただ私ならそういう真意で言う。「大事なお客さん来てるから、ちょっと挨拶してくるから、待っててくれる?」って。だって、これはさすがにやらないと思うんだよね誰も。もし言葉通りの意味なら、あんまりだと思う

のすり:うーん。よっぽどすごい目上の方ですぐ帰っちゃう人だったのか。

南帆子:目上の方って結構、すぐパッと帰っちゃう方も多いから。

のすり:だとしても、それをね。一般のお客さんに見られるっていうのは、恥だと思うんですよ。

南帆子:恥ずかしいこと。

のすり:まずどう思います? 終演後、出ていくの。

南帆子:ぶっちゃけ私は、「いるか?」って思っちゃうんだけど。

のすり:私も正直ね、すごい恥ずかしいんだよね。

南帆子:でもたぶん、理由はこの二人の間で違うと思う。鐸木さんは、恥ずかしい?

のすり:私ね、恥ずかしい。私が役者だった場合の話だけども、舞台上でさんざ「うわあーっ」ってやった後にのこのこ出て行くってのが。

南帆子:素に戻っちゃう。

のすり:っていうのもそうだし、客の立場になってみても。それまで舞台で「うわあーっ」ってやってた人がすごい近くに来るっていうのが、恥ずかしい。

南帆子:うんうん。分かる。

のすり:出来れば私は『客』と『役者』っていう関係性でいたいわけ。だけどさ挨拶で出てくると、役者さんて衣装も着替えてメイクも落としたりとかして素で出てくるじゃんか。もうそれ『普通の人』なんだよね。なんかそこでこう……。

南帆子:夢から覚めちゃう。

のすり:そうそれ。ハッ! てしちゃうんだよね。

南帆子:分かる。私は、その「夢から覚めたくない」に+、あの……私の、演者としての変な、というかいらないプライドが、乗ってしまうんですけど。

のすり:うん?

南帆子:なんていうんだろ……それこそ劇団☆新感線*1の役者が、最後出てきてお客さんに挨拶しますか?

のすり:ううん、しない。

南帆子:でしょ? その終演後のご挨拶の時間を設けるのって、やっぱり「リピーター増やしたい」「固定のお客さん増やしたい」とか。結局、営業なんだよね。その色の方が濃い。

のすり:私も他の団体の役者さんや主宰さんが来てくれたりすると「ありがとうございますーっ」って行っちゃうけど。

南帆子:行くんだけど。

のすり:でもさ新感線の役者さんが出ていかないのは、例えば古田新太*2とか出て来ちゃったら、もうパニックじゃん。うちら別に出て行っても何ともないし。

南帆子:でもさ。……ごめん本当にこれは、私の、下手な、本当に良くないプライドですけど。私はそこを目指してるわけですよ。出て行くだけでパニック、みたいな。

のすり:いいますねー。

南帆子:極論だけどね。でも、今そうでもないから、終演後も出て行くし、いつかはそうなりたいと思いながらやってるけど。だからなんていうんだろ……その、お客さんと役者の距離を保ちたい。

のすり:それはじゃあ、自分の価値を守るために?

南帆子:自分の価値っていうか……何というか……「役者が挨拶に来ることが普通」っていうことが、それがまず……。って私は思っちゃう。

のすり:そこがまずまずなんだ。

南帆子:その劇団とか団体にとって「役者さんに会えるよ☆」っていう、そのシステム。どうなのかなって。だから……そうだね、自分の価値を守るためって言っちゃえばそうだし、そこは否定しない。会えちゃうじゃない? うちらはまだまだね。でも、会えない舞台の方が、舞台として。「会える舞台」と「会えない舞台」だったら「会えない舞台」の方が。あの、そもそも、本当に好きな役者さん、素敵な舞台だったら「ここで、私は会えない」ってなる。

のすり:南帆子は、出てきてる役者さんに「どうもー」とは行けないと?

南帆子:無理無理無理。

のすり:ま、私も無理なんだよな(笑)

南帆子:もう、無理。

のすり:遠目から眺めてる分には良いんだけど。

南帆子:ご挨拶するって、なったら。もう、ファン心っていうか……。見られない。声掛けれないし、会ったところで。「ご挨拶なんて恐れ多い……」ってなるから。

のすり:でもこのお便りを見てると、一般の方も直接感想が言いたいんだなって。やっぱりそれは受け止めたいなって思う。嬉しいもんね、実際にね「面白かったです」とか言われるのは。

南帆子:だから逆にさ、一般の方ってさ、役者に会うために来てるんだね。舞台を見るためじゃなくて、役者に会うために。

のすり:だと思うよ。私もそういえば最初は『テレビに出てる人を見るために舞台に行く』っていう動機だった。「あのテレビの人が目の前で芝居してる!」っていうのを体感するため。だから役者目当てって気持ちもすごい分かる。

南帆子:でもテレビに出てるわけじゃないじゃん、うちらは。

のすり:そうだけど、それでも舞台の上で動いてた人と生で話せるっていうのは、嬉しいものじゃないかなって思うんですよ。それが、その距離感が、小劇場の良さでもありって思うんですよ。アイドルだって「会いに行けるアイドル」が人気でしょ。

南帆子:(お便りの中に)音楽の話とかもあったけど。昔はちっちゃいハコのライブハウスでやってたバンドが、今じゃ武道館とか東京ドームとか。なってくるわけでしょ? 走ってご挨拶に来てくれるなんて武道館じゃやんないよ? その寂しさってあるじゃん。昔は駆け出してきて「ありがとうございました」って言ってくれたのに今じゃステージ上でマイク越しに「センキューッ☆」っつって終わり、みたいな。

のすり:それは、致し方ないことだと思うんだよねえ……売れたなら。

南帆子:「ああこの人たち売れちゃったからもうそんなことしてくれなくなっちゃたんだな……」って。そう思うのも嫌だし、思われるのも嫌。

のすり:そう思わせちゃうのが嫌だからもう今から出ないってこと?

南帆子:出るシステムだから出てるけど。あと本当に、小劇場の一般のお客さんの中に、純粋に演劇を楽しむためだけに来ているお客さんがどれだけいるのかって、疑問。『演劇を観たいから』『演劇が好きだから』『その劇団が、その脚本が絶対に面白いから』って理由だけで来てくれている人。

のすり:そういうお客さんだったら、挨拶せずにサッと帰りそうだね。「観た! よし! 終わり!」って。

南帆子:やっぱり「この役者が出てるから観に行こう」ってお客さんの方がやっぱり多いと思うんですよ。小劇場って。

のすり:そうだね。

南帆子:そうなると、やっぱり、役者が個人的にお礼を言わないと。劇団としてどれだけ「ありがとうございました」って発信したって、やっぱりその役者目的でお客さんが来ているなら。役者がお礼を言わないと、っていうのがあるから。

のすり:それこそ、ファンサービスじゃないけど。役者が出なくちゃね。

 

 

* * * * * * *

 

南帆子:アンケートって書く?

のすり:私アンケートはね、書けるときは書いてる。肉筆残したいって思うときがあって。

南帆子:さすが作家。私逆にね、どんなに面白い舞台観ても、どんなにつまんない舞台観ても、アンケートって書かないんだよね。

のすり:あ、そうなんだ。

南帆子:でもそれは、理由がございまして。面倒くさいからとかじゃなくて。

のすり:うん。

南帆子:変に演出付けちゃいそうだから。「ここはこうの方が良いです」とか、「ここのこの演出良かったです」とか。あの、一般客として見れないんですよ、私。

のすり:あー。

南帆子:「すごい感動しました!」とか、「面白かったです!」とかだけだと、物足りなくなって。何にどう感動したのか、何がどう面白かったのか「ここのこの伏線のここがここに効いてて良かった、それをもっと効果的にするには……」とかすごい細かく、演出みたいな目線になっちゃう。んだけど、それは良くないと思ってて……。

のすり:でもそれはイチ意見として全然良いと思うけどね。

南帆子:私が、役者やってなければ書く。でも私は京央惨事の役者だから。「外の役者が横槍入れんじゃねーよ」みたいな。

のすり:そしたら匿名希望で出せばいいんじゃない?

南帆子:匿名にしても、私がその意見を言ったことに変わりはないじゃん。それで左右されてほしくないってのもある。

のすり:はあはあはあ。

南帆子:例えばデーモンズ*3に「ち○こを出すのはどうかと思います」って来たとして、もへーさんが「もうち○こ出すの辞めよー」とか言い出したら。

のすり:()

南帆子:そんなの嫌じゃん。出してほしいじゃん。

のすり:なんないけどね絶対(断言)

南帆子:でもそれと同じこと。だから特に初見の団体とか、本当書かない。色が分からないから。

のすり:私わりとその、内部の役者とか演出家の人に見られてるってこと意識して書いちゃうから。お手紙みたいになっちゃうの。

南帆子:「この度は第何回本公演おめでとうございます」、みたいな。

のすり:「観れてよかったです」とか。私も、その昔は辛辣なこと書いたりとかしてたんだけど。最近、褒めちゃうね。良い所を書こうとしちゃう。

南帆子:良い所いっぱいあっても悪い所いっぱいあっても、書けないです、私は。

のすり:そうだなぁ……見られることを意識しちゃうと、なんかつい、当たり障りなかったりしちゃう。

南帆子:それなのよ。「顔が見えないから何書いてもいいや」ってノリで書きたくないんですよ。だからといって、辛辣なことを横槍したくもないんですね。外部の役者が。私が書いたんだったら、私が書いたってバレても構わないものしか書きたくないんですよ。でも……まあ、色々あるわけじゃないですか。だから書けなくなっちゃうよね。

のすり:黙るって方法を。

南帆子:取っちゃう。

のすり:私そもそもね、そもそもの話なんだけど。アンケートいるか?

南帆子:そもそも(笑)

のすり:感想なら欲しいんだよ。「公演何回観ましたか?」とか「何で知りましたか?」とか、この集計参考にしてるところあるの? もそもそもね、すごいと思う「感想を半強制的に書かせるシステム」書きたくなくても「書かなきゃ!」って思わせちゃうじゃん。それに、このご時世ツイッターがあるじゃない。みんなツイッターに感想書くじゃんか。や、アンケートって確かに良いんですよ、私もね、肉筆残したいしアナログですごい好きだから。

南帆子:たぶんだけど。逆にツイッターって良いことしか書かないじゃん。リツイートされることを意識して。

のすり:それもそうか……。

南帆子:だから『悪い意見』の方がアンケートには欲しい、私は。

のすり:それこそ、内部の人しか見ないから書くべきなのか。

南帆子:そうそうそう。でも私はその、黙る、って方法を取ってしまうけど。

のすり:うん。でも本音を書いてくれるなら。匿名でもいいかなって思うけどね。悪い部分でも書いて頂ければ、こういう感じ方あるんだなっていうのが分かるし。両方の意見が欲しいよね、だから。

 

* * * * * * *

 

南帆子:思ったのが。自分がほとんどお客さん呼べない公演あったとするじゃん。で、周りの役者さんが、自分が呼んだお客さんと喋ってて。「客出し(=ご挨拶)」だから私も行くじゃん。でも誰もいないわけ私の呼んだお客さんは。

のすり:うん。

南帆子:……どうすればいいのか分からない。

のすり:でも出てた人が、立ってたら嬉しくない? 「あ、あの人あの役の人だ」、みたいな。私が客なら嬉しいけどね。

南帆子:いや、嬉しかったことは、一回あった。一般の飛び込みで入ったお客さんが、その「どうしたらいいか分からない」ときに話しかけてきてくれたこと。

のすり:ああ、それはね。

南帆子:ある興行で、本当私呼べなくて。その上演回にも誰一人として、私の扱いのお客さんはいなかったのね。でも「客出しだから」って理由で役者みんな行ってる。もう主宰さんの所とかには、行列、人だかり。そこに一人でぽつんて、いたのね。そしたら、なんか本当に飛び入りで来て下さったお客さんが、「良かったです、面白かったです」って声かけてくれて。

のすり:嬉しいな。

南帆子:それはすごい嬉しかった。営業じゃないじゃん、それ。そのお客さんは「お話しできると思ってなかったから嬉しいです」って。

のすり:そういうための客出しだと思う。やっぱり。

南帆子:だから、そのためだけだったら、こちらが「ありがとうございました」って頭を下げて送り出すだけで良い気がするんですよ。あからさまな営業っていうのが、私は気持ち悪い。

のすり:営業を抜きにして、純粋に楽しんで下さるお客さん。本当に増えればいいなって思うから。

南帆子:貴重だからね。

のすり:是非そういう方々には、会いたいなと思います。

南帆子:思いますけどね。

のすり:思いますし、受け止めたいなと。

南帆子:ゆうて、声掛けて頂ければ話しますから。

のすり:もうそんなんいくらでもお話しますわ。

南帆子:ただ、私は苦手ですけど……。たぶん「ありがとうございます」しか言えない。

のすり:そうなの?

南帆子:あの、本当に「ありがとうございます」しか言えなくなるんですよ私。だけど声掛けて頂いて迷惑って思ってるわけではないんです。もう、すごい内心「うぎゃあああああああああ」ってなってるんで。すっごい嬉しいんですけど。言ってることは、「ありがとうございます、ありがとうございます、ありがとうございます」しかない。

のすり:「ありがとうございます」しか出て来ない(笑)

南帆子:そうそうそう。

のすり:その「ありがとうございます」の中に色んな感情が籠ってるっていう。*4

南帆子:そうそうそう。

のすり:内輪になっちゃいけないよね、やっぱり。

南帆子:小劇場のお客さんてさ、8割方内輪だよね。

のすり:それがさぁ……。

南帆子:8割どころじゃないかも。9割とか。9.5割内輪って、普通だからね。その、内輪じゃなくするために、どうするべきかってことを今後、考えて行かなきゃいけないよね。

のすり:京央はどうしようか。

南帆子:あの『終演後挨拶』という……言葉じゃねぇのかなぁ……。

のすり:終演後『ご挨拶』って言っちゃうからかな。

南帆子:「終演後、役者によるお見送りがございます」だったらさ。

のすり:お見送り!(笑)

南帆子:「役者によるご挨拶ご希望の方は……」ってアナウンスだと、アレだけど「お見送りがあります」だったら、そういう言い方にすれば、もうちょっと印象変わるのかな。変わんない?

のすり:変わる気がする。今ってさ、お客さんが客席にいたまんま、役者側が客席に降りていくじゃない、ほとんど。じゃなくて、通路に立ってるパターン。通路に並んで「ありがとうございましたー」って。それがちょうど良いんじゃないかって思うんだよね。自ら客席に出て行っちゃうっていうのはさ。

南帆子:それは、小屋の規模というか、造りもあると思うよ。だからその、通路に立てない造りだったり。劇場外での、路上での面会が禁止だったりする小屋もあるから。そうすると劇場内で客席でやるしかない。

のすり:でも確かに、挨拶の順番待ち*5をどうしたら良いか分からなくなるね。

南帆子:まあね。例えば「前売りを役者扱いで買って下さった方に、チケットお渡しするときに別の面会券付いてて、それがあれば面会に通してもらえる」とかあるよね。

のすり:あーあるね。

南帆子:あとは、その楽屋通路の道を予め教える人には教えておいて、その通路にいる係員の方に、「○○さんの扱いの××です」って伝えたらその係員の人が、「○○さん」に確認しに行って、その人の了承を得た人だけ通してもらえるとか。

のすり:結構でかいところだよね。それやってるの。

南帆子:そう、だからその規模じゃないことは承知の上で。分かっちゃいるけど。

のすり:うーん、客出し難しいなー。なにが正解なのか。でもちょっと営業色はうすめたいですね。フラットな、ざっくばらんな空気感にしたいね。そしたら。

南帆子:お客さん的には、自分の声と表情で、お伝えしたいって、思って下さるお客さんもいるってことですよ。

のすり:そうそう。そういう方にはもう、私は両手を広げたい。距離感が近いことで色んなものが見えちゃうから、会えることがメリットでもあり、デメリットでもあるけど。でも、メリットを増やして行きたい。

南帆子:うん。だからとりあえず、京央の客出しは『お見送り』にしましょう。

のすり:お見送りな(笑)

南帆子:(場内アナウンス風に)「終演後、役者による……」

二人:「お見送りがございます。」

南帆子:「役者によるご挨拶ご希望の方は……」ではなくて。「役者と面会をご希望の方は……」でもなくて。

のすり:うん。

南帆子:「役者による、」

二人:『お見送り

のすり:(爆笑)

南帆子:ね?

のすり:ちょうど良いかも知れない。見送るだけだからね。

南帆子:そう、「ありがとうございました」って。

のすり:決まっちゃった。

南帆子:営業のためになってしまう『終演後ご挨拶』という時間は、私は出来ればしたくないですね。

のすり:営業主体のものではない。

南帆子:でも『お見送り』はするよ?

のすり:うん、『お見送り』(笑)

 

 

話題:『終演後のご挨拶』ってなんだ? 

おわり

 

以下、脚注

 

 

 

*1:劇団☆新感線いのうえひでのり主宰。脚本に中島かずき。小劇場出身の演劇界の超大手。

*2:古田新太劇団☆新感線の看板役者。『個性派俳優』としてもよくテレビでお見掛けします。私事だが一番最初に観た古田新太氏は『木更津キャッツアイ』のオジー。しかしその感覚で☆新感線の古田新太氏を目撃するとエライ目に遭う。私は古田新太氏をイケメンだと信じてやまない。特に2004年の『アカドクロ』の捨之介はほんとにもう百人斬(と、脚注という概念を見失いそうなのでこの続きは誰か直接

*3:中野坂上デーモンズの憂鬱:松森もへー主宰。芝居の中で何かと脱ぐ。脱がなかった公演を知らぬ。

*4:いいフォローです

*5:終演後挨拶をするため出てきた役者に行列ができる現象。なんとなく気まずい。その役者が知り合いであるほど気まずい