(タイトルは特に決めていない)

京央惨事(ケイオウサンジ)コラム過去ログ書庫。

質問:好きなドラマと映画なんですか?

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質問:好きな小説と漫画なんですか? - (タイトルは特に決めていない)

 

 

前回の小説&漫画編に続き、

今回は好きなドラマと映画をお答えしていきます。

 

 

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ドラマ編

 

のすり:テレビドラマはやっぱ実家にいた時はよく観てたなあ。

南帆子:最近は全然ドラマ見てないなぁ……騒がれてるものも全く見てない。実家にいるけど。何が一番好きでした?

のすり:木更津キャッツアイとか、マンハッタンラブストーリーとか。クドカン好きだったね。クドカンの入りは完全にドラマだったな。

南帆子:全く見てない……(笑)

のすり:そうか(笑) ていうか、あんまりテレビ見せてもらえない家だったんじゃなかったっけ?

南帆子:そうなんです。小学校中学年くらいまで、NHKと教育テレビしか見せてもらえなかった。だからその頃の流行りのドラマとか音楽とか、全く分からない。何かドラマ観てたっけな……。

のすり:大河好きじゃなかったっけ?

南帆子:大河というか、時代劇だけは見せてもらえたの。暴れん坊将軍とか水戸黄門とか鬼平犯科帳とか。鬼平犯科帳は当時全く意味が分かりませんでしたね(笑) 松平健さんは私の初恋のお相手です。

 

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初恋の相手(『暴れん坊将軍』)

 

のすり:渋い(笑) 時代劇は無害と判断されていたのか。

南帆子:『鬼平犯科帳』は低年齢層にあまりオススメではないと思うのだが……(笑)
でもそうだね、最近の大河になってしまうけど、『江~姫たちの戦国~』は好きでしたね。

のすり:上野樹里のやつだ。

南帆子:そうそう。

 

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江~姫たちの戦国

のすり:江。日本史上もっとも有名な三姉妹の末っ子だそうですね。

南帆子:ですね。織田の姪、豊臣の娘、徳川の母。です。ざっくり説明しますとですね、江は織田信長の妹であるお市の方浅井長政との間に生んだ三姉妹の末っ子でして。信長が本能寺で討たれた後、豊臣秀吉の人質になって、娘として政略結婚を繰り返し、最終的に徳川家康の息子・二代将軍の徳川秀忠に嫁ぎ、三代将軍徳川家光の生母となります。その人生の間に色々なドラマがございまして。それこそ江の姉、浅井三姉妹の長女・茶々(淀殿)も有名ですが、最後はご存知の通り敵同士になってしまいますしね……。

のすり:すごい、このあらすじだけでも翻弄されてる感じが。

南帆子:ドラマの主旨として、「男性社会の中であった戦国時代を女性がどう生きたか」って脚本運びだったのね。現代人が観ても“女性の生き方”っていう点で、考えさせられるというか。面白かったですね。

のすり:女たちの話だったと思うんだけど、一番感情移入したのは誰だった?

南帆子:うーん……宮沢りえさんの茶々(淀殿)かなぁ。

 

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淀(茶々):宮沢りえ

 

南帆子:あの時代の女性って、結局決定権は男性にあるんですよ。女性の意思なんて尊重されないの。その中で、父母の敵である豊臣秀吉に嫁ぎ、息子を産み、徳川と対立し、「私は豊臣の血を守る」っていうことを、全て自らの意思で選択している女性として描かれているのね。男性とは違う戦いが女性にもあった。史実では茶々の感情までは読み取れないけども、そこはドラマとしての展開の面白さが魅力的だったな。

のすり:自らの意思で選択し続けるってのは、強い人なのだなと思うんだけど。逆に江は、どういう女性なの?

 

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江:上野樹里

 

南帆子:ドラマの中の江の描かれ方は、男性が作る世の中の流れの中でも、流されているように見えてきちんとその真実を見据えている女性、だったかなぁ。性格としてはおっとりと描かれているんだけど、言葉や行動に真実味があるとうか。まあドラマなので脚色されてるけどね。

のすり:江はおっとりなんだね。おっとりものが世の中の争いに翻弄される感じ?

南帆子:翻弄されながらも、自分を模索しつつ生きていく、って感じだったかな。鐸木さんはクドカン作品のドラマは網羅してるの?

のすり:不覚だが最近のは……。実は実家出てからテレビ買ってなくて。好きだったのは木更津キャッツアイマンハッタンラブストーリー『タイガーアンドドラゴン』

 

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のすり:あと私さ三谷幸喜『HR』ていうのが好きで。

 

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南帆子:どんな話?

のすり:夜間学校の話だったんだけど。これ通常のテレビドラマの形じゃなくて。お客さんをスタジオに入れて、30分カットなしで芝居するんだよね。
南帆子:おお、すごい。へー。
のすり:その仕様がすごい好きだった。舞台に近いよね。
南帆子:そうだね。さすが三谷幸喜というか。
のすり:シットコムっていう形態らしい。出演も香取慎吾とか戸田恵子とか中村獅童とか生瀬勝久とかも出ててやたら豪華だった(笑)スタジオに教室とか職員室とか各部屋をアリの巣みたいな天井くり抜きのセットを作ってて。主軸の話してる役者をカメラが追ってるんだけど、たまに全然関係ない部屋が見きれるんだよね。でもちゃんとそこでも演技してるの。そういうのが面白かった。

南帆子:へー。本当に舞台のセットみたいだね。その形態初めて知った。面白そう。

のすり:三谷さんは一時期ワンシチュエーションのドラマけっこうやってたんだよね。空港とか、山とか(笑)全部始めから終わりまでカメラ回しっぱなし。明らかに役者に負荷がかかってて、それがまた観てる方は面白くて。オススメドラマですね。

南帆子:日本のドラマや映画って、ワンシチュエーションの強みがあるよね。と勝手に思ってるんだけど。

 

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南帆子:洋物ドラマで言うと、一時期『Lの世界』ハマってましたね。

 

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Lの世界 ‐The L Word-

 

のすり:『Lの世界』めっちゃ面白いね! 私もハマった。

南帆子:あれは大学時代ですよね。

のすり:8年前のドラマなのか……(苦笑)

南帆子:時の流れ……『Lの世界』、ざっくり説明すると、ロサンゼルス住まいのレズビアンたちの話です。何組かカップルが出て来てね、くっついたり離れたり。

のすり:まさに女の群像。洋ドラマの良いところは長ーくやってくれるところだと思ってて。Lの世界はシーズン6まである。だから、くっついたり離れたりの時の流れがリアルに感じる。

南帆子:マジでくっついたり離れたりしてるだけなんだよね、アレ(笑) なのにこんなに面白い。男女の恋愛ですら面倒くさいけど、女性同士の恋愛て輪を掛けて面倒くさいよね。でもそれがひたすら面白いんだよね。

のすり:なんか男女だとさ、やっぱり女の視点から見てしまうけど、どっちも女だからさ(笑)「どっちの気持ちも分かるわ~!」ってなるね。ちなみに誰が好きだった?

南帆子:シェーンですね(即答)

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シェーン:美容師。中性的ルックス&気さくで人当たり良い性格で、墜ちる女子多数。特定の恋人を作らないことを信条にしていて、泣き寝入りする女子も多数。友情に厚い。幼少期に親に捨てられたという過去を持っている。

 

のすり:イケメン(笑)シェーンとは、付き合いたい?

南帆子:あくまで観賞用でお願いしたい(笑) シェーンと付き合うなら彼女の弱さを全て許さなきゃいけない。こちらがぼろぼろになっても。

のすり:まだ支えきれる自信がないと(笑)

南帆子:そこまで捧げられる気がしないですね(笑) 付き合いたいのはマリーナですかね。

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マリーナ:メンバー達が通うカフェのオーナ―。恋人との関係に冷めていた折、本の趣味が合うジェニーと出会い、意気投合して…

 

南帆子:プラネットの元店長で、ジェニーがレズビアンになったきっかけの女性。あの人だったら、言い方悪いけど割り切って付き合えそうだし、もし実在していて迫られたら落ちるかも知れない(笑)

のすり:それくらいのサッパリ感でいいんだ

南帆子:なんていうか、マリーナなら最初から期待しないかな。シェーンだと、彼女には私しかいないんだ、ってなんか使命感を持ってしまいそう。そしてことごとく裏切られそう(笑)

のすり:ハマりすぎることを案じてのことなのか(笑) なんかさ、私も最初「シェーンかっこいい!」から入ったんだけど見てるとだんだん推しが変わってかない? 人物が掘り下げられる毎に、好きになってしまう。

南帆子:私、逆にシーズン1はベットが好きだった。シーズン2からシェーンが好きになったな……。

のすり:あ、そうなのか。でもそういう風に、私も最初はシェーンばっかり見てたんだけど、段々アリスの軽快さが好きだなーと思ってみたり、ジェニーの「女!」さがキツイなーって思ってたんだけどだんだんその弱さとかが見えてきて「アレ? 可愛いぞ? アレ? 好き?」ってなってたり。好きになる要素と苦手な要素が裏表だったりして、でもそれがすごい人間らしくて、本当に面白い。ドロドロだけど(笑)

 

 

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ベット

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ジェニー

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アリス

 

南帆子:女のドロドロ面が好きな方には是非観て頂きたいですね(笑) アリスも軽快に見えて、案外弱いところがあったり。シェーンなんてものすごいビッチなのにめちゃくちゃ純情ですしね(笑) 女は一面では語れないということがとてもよく分かります。

のすり:うちらはまだ男性としか付き合ったことないが(笑) 「もし女性と付き合うとしたらこの人だな」ていう妄想も楽しい。オススメですね。

 



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映画編

南帆子:それこそついこないだ、『STAR WARS/最後のジェダイ』観ましたよ。エピソード8。

のすり:おっ、スターウォーズ

南帆子:スターウォーズ好きは、完全に親からの影響ですね。生まれたときから家にスターウォーズのVHSがあったので。私、マジで一番好きな映画といえば、たぶんスターウォーズシリーズですよ。

 

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STAR WARS(これは一作目のⅣ)

 

のすり:なんと私が全く見てないという(笑) 映画は見せてもらえたの?

南帆子:『スターウォーズシリーズ』と『バック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズ』と、『ジブリ』と『ディズニー』なら見せて貰えた……(笑)

のすり:なんとも、健康的な。スターウォーズ語っとく?

南帆子:えー、では長い独り言を言いますね。
スターウォーズの第一作目(エピソード4)が公開されたのは我らが生まれるより前なんですよ。1977年。まずそのエピソード4・5・6に親がハマりまして、なので生まれたときから家にVHSがあって。マジでジブリやディズニーの延長線上で小さい頃から観てた。それがね、時を経て1999年に、堂々とエピソード1の公開ですよ。私が本気でハマったのはこのエピソード1・2・3からですね。ヒロインのパドメが美しくて強くて、アナキンの最後はもうエピソード4・5・6で分かっているのでそれがまた切なかった。そして更に時を経て、一昨年にエピソード7の公開。いやぁ本当、未だにこれだけファンがいるのだから素晴らしいシリーズだと思います。全シリーズ観てればそれも納得ですけどね。スターウォーズって男性向けの、派手なアクションSFに見えるでしょ? 違うんだよこれが。実は血縁関係とかが大きく作用していて、あれは家族の物語なのだよ。宇宙規模の家族の物語。すごいでしょ。
という、鐸木さんには全く分からないであろう語りでした。

のすり:宇宙規模の家族の物語っていうワードが(笑)

南帆子:そこだけ一人歩きしてしまいそう(笑)

のすり:そうだよね。「アイアムユアファーザー」だもんね。

南帆子:そこだけ知ってるんだ(笑)

のすり:そういう薄い情報なら。

南帆子:物語の核的な台詞ですからね(笑) 鐸木さんの一番好きな映画は?

のすり:私は、基本的に邦画ばっか観てるんですけど。マジでひとつに決めるのは悩む。複数あげるとジョゼと虎と魚たちとか人のセックスを笑うなとか「愛の渦」とかです。

 

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南帆子:『愛の渦』気になってた。観てないけど。

のすり:愛の渦は、初めて会った人たちでセックスしましょうって話だよ。

南帆子:その表面のうっすらしたところまではなんとなく……なんか「みんな裸」ってところとか。

のすり:最終的には裸だね(笑) なんか行為より、それまでの流れが見どころ。まず、服着た状態の「初めまして」から始まって、そこから誰がまずどう出るかみたいな。もちろんみんな目的は一緒なんだけど。言い出しにくいじゃん。

南帆子:セックスが主題ってさ、なんというか……人間の本性を描くのがきっと主題なんだなっていうのは、分かると思うんだけど。ものすごい高度なコミュニケーションじゃない、セックスって。初めましての男女がその行為に及ぶまでの物語って、すごそうだよね。

のすり:そう! そのしにきてる理由もそれぞれで。簡単に始めちゃう人もいれば、してくれる人いなくてあぶれちゃったりして(笑) 主役の門脇麦は、見た目は眼鏡で寡黙で、そういう場に来そうなタイプに見えないんだけど、実はすごい性欲強くてどうしようもできなくてっていう(笑)

南帆子:面白そうなんだよなー。如何せん自室にDVDプレイヤーがないので、実家ではなかなか観られなさそうなのですが(笑) 是非観てみたいですね。

のすり:実家でみるのはやめた方がいいね! お母さん死んじゃうよ!

 

 

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のすり:ちなみに私もジブリで育ったクチです。

南帆子:ジブリでは何が一番好きですか?

のすり:えらべねー!!

南帆子:(笑) いやでもね、分かるよ。ジブリってそれぞれの作品でそれぞれ語れるくらい、良質映画ですからね。

のすり:せめて駿と勲で選ばせてほしい。

南帆子:友達みたいにハヤオとイサオ言うのやめれ(笑)

のすり:駿は紅の豚、勲は「ホーケキョとなりの山田くん

南帆子:でもそうだなぁー、私も駿はもののけ姫、勲はおもひでぽろぽろかな。

のすり:もののけも、おもひでもいいなー。

南帆子:『紅の豚』はさ、鐸木さんとマルコの人間性が似てるって話になりましたもんね(笑)

のすり:なんかなったね。似てる?

南帆子:なんかこう、自分や人生に諦観している感じが(笑)

のすり:諦めてる(笑) 

南帆子:過剰な期待はしてない感じが(笑)

のすり:南帆子はハウルっぽいってなったよね。

南帆子:私は自他共にハウルだと思います。あの自意識めっちゃ親近感……。

のすり:あと凹むとドロドロになっちゃうやつ。

南帆子:私も落ち込むと粘着質な液体放出してるくらいもう面倒くさいからね。
のすり:「紅の豚」は、小学生の頃からテレビで録画したのをずっと繰り返し観てたから。影響あったのかも。マルコは憧れの……豚。

南帆子:憧れの(笑) 私今までさ、同じ映画を映画館で二回観るって、『もののけ姫』でしかしたことないんだよね。

 

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もののけ姫(1997) 宮崎駿監督


のすり:へえ。もののけ姫公開って、うちら小学1年生くらいだよね。
南帆子:そのくらいかなぁ。だから厳密にいうと親に二回連れて行ってもらったんだけど。案外“映画館”で観るのは一回で充分なのよね。「面白ければ後でDVDでも買おう」くらいで。でも『もののけ姫』は、映画館に二回観に行っちゃったね。当時。
のすり:その時は南帆子が気に入ってもう一回観たい! ってなったの?
南帆子:気に入ってというか「もう一度観なければ」って思ったのは覚えてる。なんでかは忘れたけど。でも後にも先にも映画館で二回観た映画って、『もののけ姫』しかない。
のすり:なにその使命感みたいな(笑) それくらい刺さったんだね。どこが好き?
南帆子:なんだろう、メッセージ性はものすごく強いよね。「命は巡るもの、自然に還るもの」というか。キャッチコピーは「生きろ。」の一言だけで、これだけで全てを物語っている。あとやっぱり、駿のカメラアングルというか、カットの間の取り方が好き。
のすり:駿の間ってあるよね。確かもののけ姫で好きなシーンがあったよね。
南帆子:ラストの、森が死んでいくシーンで。サンが激情して、「私はもののけだ!」って言い張るんだけど、アシタカが「そなたも、人間だ」って詰め寄って行ったとき。「黙れ!」でサンがアシタカの胸を殴るんだけど、そこでアシタカの呪いに浸食された体を目の前にして、ふ、とアシタカの顔を見上げて、そのままアシタカに黙って抱き締められる、というシーンがありまして。あれね、他のアニメーション監督だったら、カット分けると思うんですよ。でも駿は1カットで描いたのね。でも分かるの。サンの絶望も、アシタカの使命感を帯びた希望も、きちんと伝わるんだよね。間で。そこが好きだね。
のすり:カット割らずに、俯瞰で、間だけで伝えるっていう。それだけで充分すぎるんだよね。ジブリは多くを語りすぎないところがやはり好きだな。 

 

南帆子:『紅の豚』はどこが好きなんですか?

 

 

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紅の豚(1992)宮崎駿監督


のすり:まず小さい頃は冒頭のポルコロッソVSマンマユートが好きすぎて。

南帆子:記憶があやふや……(笑) 飛行機のレースみたいなシーンだっけ?
のすり:マンマユート団て空賊が子供の団体を人質にとって船を襲うんだけど、ポルコロッソが赤い飛行艇でやっつけにくるっていう。ここのシーンめちゃわくわくして見てた。でも大人になってからは、ジーナとポルコの関係性とかポルコの抱えてるものが分かるようになってきて、そういう所がすごい好きだな。
南帆子:なんか思い出してきたぞ……とりあえず赤い飛行艇、かっこいいよね……(笑)
私、人間だった頃の夢を見てるシーンが好き。「ジーナを頼む」って言い渡されるとこ。
のすり:あの飛行艇が群になってるシーン綺麗だよね。駿はすごい派手な描写が多いから子供のときはそっちの方が楽しかったんだけど、だんだん勲の良さを噛みしめるようになるよね(笑)

南帆子:駿の世界観と絵は群を抜いて秀逸なんだが、勲は本当に日常のありふれたところにある小気味よさや感慨に触れてくるよね。

のすり:おもひでぽろぽろは、子供時代のイタイとこ抉ってくる感じがたまらん

 

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おもひでぽろぽろ(1991)高畑勲監督

 

南帆子:それこそ誰しもが経験ありそうなイタイとこ。

のすり:私、主人公のタエ子がみんなで出かける前に駄々こねて、お父さんにパーンってほっぺ張られるシーンが死ぬほど残ってる

南帆子:そこな。

のすり:タエ子が駄々こねる気持ちも分かるし、父に張り手させたっていう罪悪感っていうか。なんか、他のシーンも説明できない怖さがあるんだよね子供時代の

南帆子:わかる。今思い返せば、ってところ。思い返したくないヤツ。

のすり:花岡さんのイタイシーンはどこ?

南帆子:いや私も引っぱたかれるシーンだな。

のすり:やっぱ残るよね、あそこ

南帆子:残る。あの頃は「お父さん恐い、酷い」って気持ちしか残らなかったと思うんだけど、大人になると「お父さんに張り手させるほどガキだったんだな自分」て思い起こせる。子供の世界と大人の世界は見えているものが違う。

のすり:私はおもひでぽろぽろは大人になってからちゃんと観たんだけど。子供の時に観てたら面白いって感じてたのか、分からないな。共感の層は確実に大人だよね。

南帆子:大人だね。子供は分からないだろうなぁ。

のすり:となりの山田くんはね、けっこう全年齢対象。

 

 

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ホーホケキョとなりの山田くん(1999) 高畑勲監督

 

南帆子:ずっと流しておけるって言ってたもんね(笑)

のすり:流しときたいね(笑)これは、原作は「ののちゃん」って有名な四コマだね。ひたすらののちゃん一家の日常小ネタを積み重ねているだけど、なんか面白いんだよね……ずっと見ていたいね……
南帆子:原作名初めて知った。
のすり:新聞連載の四コマだよ
南帆子:そーなんだ。となりの山田くん、お父さんがヒーローになるとこ、泣ける……。
のすり:私もあのシーン好き。月光仮面になっちゃうやつね
南帆子:そうそう。なんか、お父さんて誰にも知られず家族のヒーローだよな……って。
のすり:そう全部妄想でね。月光仮面のおじさんになって家族を助けるっていう。一人ブランコにのりながら妄想するの。これ前のシーンが結構キモなんだが。
南帆子:前後のシーンはあんまり覚えてないけど(笑)、その月光仮面のシーンで泣いたことだけ覚えてる。
のすり:ここ話すと長くなるからやめとく(笑)山田くん、なんかジブリの中でどうも埋もれがちなんだよね……でも作画もいいし話もいいので、観てない人ぜひ観てみてほしい
南帆子:埋もれた名作ですね。

 

 

 

*『質問:好きなドラマと映画なんですか?』おわり*