(タイトルは特に決めていない)

京央惨事(ケイオウサンジ)コラム過去ログ書庫。

話題:なれそめ(二)

前回▽

話題:なれそめ(一)

 

かつて鬼演出だった花岡とほぼ何も覚えていない鐸木。

大学生時代を振り返る話、その二。

波乱の幕開け・大学二年生。

 

* * * * * * * 

 

の「一回そうですね……喧嘩をしまして。」

南「それこそさ、実害が出ちゃたんだよね、鐸木に。」

の「実害(笑)」

南「その、男子に向いてた私の『ボケーーー!』がさ、鐸木さんに向いてしまったんですよね。」

の「そうなんですよね。まあそれも……私が台詞を覚えなかったからなんですけどね。」

南「うん!」

の「そもそもの話。」

南「まあね(笑)でも当時の私は、変に『完成度』をすごく求めてしまっていて。『こんなの人に見せられないじゃん』て気持ちが強かった。今思えば『それも人間なんだから』って思えるんだけどね。」

の「その思考は正しくもあるんだよね。良いもの作ろうっていう。」

南「うん。」

の「ただ私自身どちらかというとその時は、チームで楽しくやろうぜって意識の方が強かったから。その意識の違いがあったんですよね。」

南「そうだね、あのサークルはね。」

の「まあそこで。」

南「そこで。」

の「バーン! て。」

南「バーン! てなりましたね。」

の「うん(笑)」

南「高校生の頃って部員がいっぱいいるじゃん。替えが効くんだよね、いくらでも。私はその意識があって。」*1

の「うん。」

南「で、実際、結構替えがいたじゃない。二年生になって、一年生も後輩でいっぱい入って来て。だから、替えはいるしって感覚も私の中にはあって。『替えて良いものが出来るなら替えた方が良いじゃん』って。なっちゃったんだよね。(今は)それが正しかったとは思ってないんだけど。」

の「それが私だったんだよね。私が全然出来なくて。『こっちの役者の方がいいじゃん』みたいな感じに南帆子がなって。で、他の人に『こっちの子の方がよくない?』って言い始めて。……私がキレたんだよね。」

南「キレた(笑)」

の「まあキレて(笑)」

南「公民館みたいな稽古場だったよね。柏の。」

の「そうそう。そのやりとりを見てて、もう私がなんか。」

南「私覚えてるよ、鐸木から言われたこと一言一句。『ここまで馬鹿にされて私はあなたの元で芝居をしたくありません』って言われた。」

の「あー。」

南「これ一言一句ですよ。」

の「『やり方が気に食わない』って言ったのは覚えてる。」

南「それも言われた。ただ、私が一番ガンッて来たのはそれだった。そこを一番覚えてる。で、その日はですね、私、荒れたんですよ。」

の「ほう。」

南「私も私で、普通の感覚だったから。キャスト替えちゃうっていうのが。そんなにイレギュラーなことをしているって自覚はなくて。そんなこと言われると思ってなかったら。」

の「うん。」

南「その日、家に帰りすがら。……私、酒弱いじゃん。」

の「うん(笑)」

南「缶チューハイ6本買って。」

の「おお。」

南「一晩で全部飲んだ。」

の「すげえ!」

南「ずっと泣きながら飲んで。で、高校時代の友達に片っ端から電話かけて。10人くらい。「愛してるよ」って伝えまくった。」

の「何だそれ(笑)」

南「泣きながら、酒飲みながら、「あいしてるぅっ……!」って。南帆子劇場。」

の「南帆子劇場(笑)私はその日の夜、残った役者メンバーで、先輩の家泊まりつつ。」

南「うん。」

の「なだめられた。」

南「なだめ(笑)」

の「『言いたいことわかるけど、お前も悪いよ』みたいな。その後、夜の公園で特訓。」

南「初めて知った。そうだったんだ。」

 

* * * * * * *

 

の「……まあ、その大学二年生の公演はどうにかこうにか。」

南「どうにかこうにか。終わり。」

の「終わり。そこから。」

南「二年間空きましたからね。」

の「空きましたね。そこから。」

南「二年間。空白の。」

の「空白の二年間があり。」

南「ようやく再び口を効き始めたのが……もう、大学卒業するってときですよね。」

の「うん大学四年生。」

南「『卒業公演打とうか』みたいな。それも、私発信でも鐸木発信でもなく、部員の男子たちが私達それぞれに『打たない?』って声かけてくれて。別々に。」

の「そうね。」

南「で、卒業公演の話し合いに行ったら……『いるじゃん』みたいな。」

の「そうそう。私も『いるのかよ……』って(笑)まあそうなるでしょうよ。」

南「ですよね、っていう。」

の「しかも電車が一緒の方向だったじゃん。」

南「そう、帰る方向が。」

の「京王線だからね。一緒だから、『チッ、マジかよ……』って。」

南「思った!」

の「思った。思うよね(笑)」

南「わざとさ、みんなと帰ってる途中とかもコンビニに用があるフリとかしたもん」

の「(笑)そう、南帆子は途中からサークルからいなくなっちゃってたんだよね。」

南「そうそう。」

の「私はそのまま例の公演後も居続けたんだけど。南帆子がやっぱり。」

南「居にくくなってね。」

の「来なくなっちゃって。でも私は地味に居続けて。」

南「こう、男子たちはもう”鐸木組”だったわけだから、言い方変だけど。男子たちは鐸木と仲が良かったし、私の方がサークルから距離を置いてしまったから。そういうコミュニティが確立してたから、こう、邪魔者は私か、っていう。」

の「(笑)」

南「空気を読んで。『私ちょっと寄ってくとこあるんだよねー』とか言って抜けて。コンビニでお茶一本だけ買うとかしてた。」

の「でもなんか、卒業公演の稽古してるうちに、途中からお互いに『この感じのままはヤバい』みたいな。」

南「あったと思う。」

の「座組の中でこのような関係性はマズいと思って。」

南「うん。」

の「話しかけなきゃ、って思った記憶はあるんだよね。」

南「でも話しかけたときにね……『松尾』*2って呼んでた。『南帆子』って呼べなくて。」

の「苗字に戻ってた(笑)」

南「でもそれこそね、D下*3の功労もあると思いますよ、私は。」

の「D下!」

南「D下が結構、架け橋の役割を担ってくれた。私も結構きっかけ覚えてて。D下と鐸木で帰りに買い出し行くって言って。……何だっけな、東急ハンズかな、新宿の。」

の「うん。」

南「で、結局帰る方向が一緒だったから私は。そしたらD下が『一緒に行く?』って声かけてきて。私も私でこの感じはやべぇなって思ってたから『う、うん、いくー』つって。」

の「うん(笑)」

南「一緒に買い出しして。D下と三人で五右衛門行った。パスタ食った。」

の「はいはい。」

南「五右衛門で、鐸木はセックスでイけないって話をして。」

の「うそだろ!!!(覚えてない)」

南「D下が『いや俺の彼女めっちゃイキまくるけどお』みたいな。」

の「何なんだよ、その会話。」

南「クソみたいな話をして。」

の「クソみたいな話を。」

南「一方、処女のわたくし。」

の「はい、かたや当時処女の。」

南「『えーマジー!?』って乗っかって。処女のくせに。」

の「処女のくせに(笑)うん。ただ、私はそこで『あ、意外と喋れるんだな』って思った。」

南「思った。意外と『あれ?』って。」

の「そう、その空白の二年はあったものの、そんな気まずくなく喋れるぞって思ったらなんか、もういいやってなっちゃんたんだよね。」

南 「妥協だよね。」

の「当時、逆恨みみたいなのがお互いあって。」

南「あのやろー!ってのがお互いにね。あったんだけど。」

の「喋ってみたら、普通に喋れるじゃん、ってなって。その辺からね。私はもう、どうでもいいってなった。つんけん面倒くせーって。」

南「私は……どうなったんだっけな。やっぱこいつ面白れぇーってなったんだけな。確か。やっぱ話してみたら、面白い人だって再確認したんでしょうね。たぶん。……まあそんな感じで、卒業公演を終え。」*4

の「終え。」

南「卒業公演終わってさ……ずっとなんか、いるよね。なんつーか。途切れることなくいる気がするもん。」

の「私の就職とか挟みつつ、でも定期的に会ってて。」

南「だって卒業公演後の打ち上げのあとも、次の次の朝までいたもん。メンバー入れ替わりつつ、ファミレスで。でもうちらはずっといたもんね、ファミレスに。ジョナサンですよ。」

の「いたね。すげえな。」

南「卒業してからENBUに入るまで、二年間あったんだっけ?」

の「うん、二年。」

南「その二年の間に、二人とも、大学時代の友達ってお互い以外にあんま連絡取ってない……。」

の「取ってないね。」

南「二年間空白あったけど、結局卒業後に二年間を取り戻す、みたいな。」

の「ね。結果的にこんなことになってるしね。」

南「結果的にね。」

の「何だったんだって感じ、あの二年。」

南「でもあの冷戦期間があってからの今なわけじゃん。あの冷戦期間があったからこそ、お互いを冷静に見れるよね。なんか。客観視出来る感じ。」

の「うん。それはあると思う。」

南「客観視出来るんだけど、お互い遠慮はしない、みたいな。」

の「まあ、一回ぶっ壊れたから、これ以上ぶっ壊しようがないっていうのが、まずまずあるけどね。」

南「そうね。」

 

 * * * * * * * 

 

~おまけのようなもの~


の「というか、これ話ちょっと戻るけど。」

南「はい。」

の「私が結構頭に来たのって、鈴木良尚*5へのアタリが異常に強すぎるっていう」

南「(笑)」

の「それも『お前のやり方が気にくわない』にちょっとあった気がする」

南「(笑)」

の「いや、わかるけどさ(笑)」

南「鈴木良尚には一番『ボケーーー!』だったからね。うん、未だに。」

の「未だに鈴木良尚は……。」

南「そんなに好きじゃない(きっぱり)」

の「(爆笑)」

南「未だに。」

の「未だに鈴木良尚はそんなに好きじゃない。」

南「うん」

の「これ今何人が鈴木良尚を知ってるのだろう。」

南「みんな知ってくれてるよ(無責任)」

の「もはや締めが『鈴木良尚は好きじゃない』になってしまう。だれも知らないのに。」


 

 

「話題:なれそめ」 おわり

 

 

 

*1:南帆子は演劇特化の高校に通っていた

*2:花岡の本姓

*3:同期の一人。いいやつ。

*4:ちなみに卒業公演演目は「エクスキャリバァァ!」作・演出は劇団YAX直線の原ゆうや(我らのめっちゃ先輩。縦のつながりの所為でNG大学こんにちはシアターのキャラ濃い後輩どもの面倒をよくみる羽目になってる。この話は長くなるのでまたいつか。)気になる方は→Twitter

*5:鈴木良尚:同期。こんシア同期の中で唯一役者を続けている奴。何故か周りからのアタリが強い。そういう運命の男。気になる方は→Twitter