(タイトルは特に決めていない)

京央惨事(ケイオウサンジ)コラム過去ログ書庫。

花岡、お一人様のすゝめ第二弾【一人焼肉編】

こんばんは、花岡です。

すっかり春ですね。

私も最初の一歩を踏み出してみました。

 

花岡お一人様コラム、第二弾です。

 

 

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ホルモンが食べたい。私はホルモンが、 特に焼きホルモンが大好きだ。
だが誘える人は少ない。友達がいないわけではない。
お金がない。折半できるほど持ち合わせていない。
つまりは、カードで払うしかないのだ。


だけどホルモンが食べたかった。


誰も誘えないなら手段は一つ。
お一人様だ。


私は最近、 バイトで夕方から夜までのシフトに入れられることが多く、 なかなか焼肉店へ行ける時間がない。
焼肉店は得てしてランチタイムに営業していないことが多く、 営業していたとしてもランチにはホルモンがないことが多い。
また、ランチタイムは禁煙であったりと、何かと“ 昼間にホルモンを食べる”ことのハードルが高いのだ。


3月16日、金曜日。この日は久しぶりに、 11時から19時までのシフトであった。


この日だ。チャンスはここだ。


思い立ったのはその前の週の日曜日で、 来週行けるとしたらこの日しかないと行き当たった。


しかし、 やっぱり初めての場所に一人で行くのはなかなか抵抗がある。


一人カラオケは、歌っているところを誰かに見られることはない。
一人ファミレスや一人カフェは、 時間のシャッターとでも言おうか。 客同士の間に見えない壁があるように思う。 誰かが一人でお茶をしていても、我関せずでいられる空間なのだ。


一人焼肉は、どうしたって見られる。
「あの女一人でホルモン焼いてるぜ」的な視線が怖い。


下調べは、慎重だった。


まず、ホットペッパーグルメや食べログなどを駆使し、用途・ 使用シーンの欄に『お一人様』と書かれた焼肉屋に焦点を絞る。
その上で、クレジットカードが使用可能か、値段は、口コミは、 本当に一人で行っても浮かない店なのか、念入りにチェックする。


かくして、私初の一人焼肉は、地元のホルモン焼き屋に決まった。


バイトを退勤して、渋谷から地元駅まで帰っている途中、何度も「 今日じゃなくてもいいんじゃね?」と弱気になる。
その度に「いやでもホルモン食いたいし」「 カードで切るのに人誘うの申し訳ないし」「ホルモン食いたいし」 「今月この時間に上がれるの今日だけだし」「 ホルモン食いたいし」と鼓舞させた。


そして電車は時間通りに地元駅に着き、私はホームに降り立った。
サンリオキャラクターに占拠された無理矢理感溢れるファンシーさ が、最近一部のファンに聖地とされている駅だ。
取って付けのポップさに見送られながら、 私はホルモン焼き屋を目指した。


金曜日の20時過ぎ。店は混雑していることを予想していたが、 案外そうでもなかった。


その店は個室でこそないものの、席ごとにパーテーションがあり、 確かに一人でも入りやすい雰囲気だった。
私が入り口を入ると、奥にいた店員が客の来訪に気付き、 声をかけて来た。
「お一人様ですか?」
私は、はい、と答えた。


通された席は、まさにお一人様専用の席だった。
通路の端、隅の方に設置された席。向かい合えば二人掛けだが、 二人で座るには明らかに狭い正方形の小さな机。 この隅っこ感は落ち着きを覚えざるを得ない。


なんだここは。天国か。


「お飲み物から先に伺います」と言われたので、 私はウーロン茶を頼んだ。 ここでビールでも飲めれば格好も付くのだが、ビールは飲めない。
しかも空腹にアルコール類を入れるとすぐ悪酔いするので、 一杯目はソフトドリンクであることが多い。


メニューを見ないで適当にウーロン茶にしてしまったが、 後にドリンクメニューを見たら玄米緑茶があった。 こっちにしておけば良かった。プチ後悔。


ドリンクを注文後、すぐに七輪が用意される。
七輪を持ってきてくれたお兄さんが、「 ご注文の際はボタンでお呼び下さい」と言い残して去って行った。


メニューを吟味。まずはホルモンだ。
ホルモンの中でも、私はマルチョウが大好きだ。 まずはマルチョウ。これは決まり。あとは肉も食べたいので、 豚タン。そして箸休めにナムルの盛り合わせ。
完璧なオーダーである。


ウーロン茶が来た時に、 この完璧なオーダーを店員さんにお願いした。


ウーロン茶を飲みながら、煙草を吸う。
余談だが、私が“一人で行動してみたい” と思えるようになったのは、喫煙も一役買っていると思う。
煙草は一人で吸うのが好きだ。 たむろして吸っているとなんか不良みたいで格好悪い。


煙草の二本目に火をつけた頃、 オーダーしたマルチョウと豚タンとナムルの盛り合わせが、 同じタイミングでテーブルに来た。
まずはマルチョウと豚タンを二切れずつ、網に乗せる。
煙草を吸い終わる頃には豚タンは焼き上がった。 ホルモンはよく火を通さなければ危ないので、もう少し待つ。


煙草を消して、いざ豚タン。美味い。焼肉。肉! 最高だ!


豚タンを二切れ平らげて、あと三切れの豚タンを網の上に置く。
ホルモンはもう少し時間が掛かりそうだ。ナムルで繋ぐ。


ナムルを咀嚼していると、いきなり七輪から炎が上がった。
ホルモン焼きの運命である。
火消用の氷を網に滑らせて消火活動。ホルモンを救出。焼き色は、 完璧。


タレ皿に取ったマルチョウは、ぷりっとしていて程よく油が落ち、 味噌ダレに付けると香ばしいにおいが広がる。
いざ、口の中へ。


美味い。ああ、美味い。この噛み応え、味、こってり感。 噛むたびに溢れ出す脂身。ああ、なんと、なんと! これ以上美味いホルモンがあろうか! ジーザズ!


マルチョウを堪能し、 そうこうしているうちに焼き上がった残りの豚タンも平らげ、 マルチョウの残り三切れを網の上に乗せる。
その間に再度メニュー表を吟味。正直、あとホルモンを一人前と、 〆で良かった。


黒ホル、という、和牛のホルモンがあったので、それにした。
そして〆に、冷麺を頼んだ。


二回目の注文が終わったと同時、 三切れのマルチョウが焼き上がる。
この日マルチョウ二便目、これも美味しく頂く。


そして焼き物がなくなってしまった時間は、ナムルと煙草で繋ぐ。


黒ホルが先に来た。今度は一気に五切れを網の上に乗せた。
油が滴り落ちる。煙草を吸いつつ、ホルモンをころころ転がして、 火を通す。
焼いてる途中で、冷麺も来た。煙草は消して、 冷麺を食べつつ黒ホルを焼く。


黒ホルは、 マルチョウには負けるがこってり感のあるホルモンだった。 これも美味い。次に来た時もきっと頼もう。


そして最後に冷麺を平らげ、食後の一服を吸って、店を出た。


一人焼肉のいいところ。
好きなタイミングで好きな部位を食べられる。
私は元来お酒をそんなに飲まないので、無駄な飲酒を避けられる。 現にこの日も、ドリンクはウーロン茶一杯で済んだ。
時間にして1時間半くらいの滞在で、 得られる満足感がハンパない。


これはハマりそうな兆しである。


だがカードでなんでもかんでも切ってしまって後悔することも多々 あるので、そこは自制しながら嗜もうと思う。

 
 
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