(タイトルは特に決めていない)

京央惨事(ケイオウサンジ)コラム過去ログ書庫。

【お一人様にこそ美容師指名のすゝめ】

二回連続更新失礼します。花岡です。

 

今日は、お一人様をするようになってから出会ったちょっと面白い人のお話です。

 

最後までお付き合い頂けると幸いです。

 

 

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私は美容院が嫌いだ。もとい、美容師との会話が嫌いだ。


まず、褒めちぎってくる。髪の毛を切れば短い方が似合っていると言い、髪の毛を伸ばしたいと言えば同じ口で長い方が似合うと言う。
黒髪が好きだと言えば色白だから暗い髪色が似合うと言い、髪を染めれば軽さが出て明るくて似合っていると言う。


美容師ほど腹の底が読めない職業を、ホスト以外に知らない。


たまに、
「今日はいつもの○○(美容院)でカラーしてもらったよ! ××(美容師)さんのカラーはいつも綺麗な仕上がり!」
みたいなSNSによくいる女子、そのアピールのモチベーションが分からない。


そんなこんなで私は美容院が嫌いで、今まで長い髪にこだわっていたのも、美容院に行く頻度が少なくて済むからだ。
ストパーをかけてしまえば半年は保つ。とにかく美容院に行かなくて良い髪型に固執していた節はある。


同じ人が違う人間のように別の言葉を吐くのだから、だったら指名なんぞしない方が良いと思っていた。
美容院ですらこだわっていなかった。空いてる日に開いてる美容院に行く。そこで切ってもらえればそれで良かった。


ただ値段は安すぎない方が良い。2,000~3,000円程の所は、さすがに避ける。6,000円は高すぎる。いつも4,000~5,000円の所を適当に選ぶようにしていた。


そんな私がここ二年ほど、一つの美容院に通っている。
そして髪を短くした頃から、美容師を指名するようになった。


短髪であると、二ヶ月に一度は最低でも髪の毛を整えないとだらしがない。加えて私は髪の毛が伸びるのが早いらしく、さらに毛量も多いので、一ヶ月半に一度は美容院に行かなければ頭がボンバーになってしまう。
違う美容院、違う美容師にいちいち好みを説明したり、毛髪カルテを作ってもらったり、それらが面倒くさいというのが、美容師を指名するようになった理由の一つ。


あともう一つ理由がある。
私の指名している美容師が毒舌で、会話がさっぱりしていて気持ちが良いからだ。


恐らく彼はとても真面目に仕事をしているだけであり、そして美容師という仕事にプライドを持っており、責任感ややり甲斐も感じているのだろう。
ただただそれが毒舌なのだ。


私がショートにすると、彼はこう言った。
「や、短い髪、似合いますね!」


出た出たこの感じ。はいはい。


「長いとどうしてもケアが大変ですし、傷みやすくなりますし。ショートヘアの方が髪の毛のアフターケアは楽なので、花岡さんにはショートの方が良いと思います!」


えっと、ロングの頃は髪の手入れが行き届いてなかったということですね?


そして仕上げにはこんなことも。


「ドライヤーってどうやってかけてます? 分け目と逆方向からドライヤーかけると、髪の毛のトップにボリュームが出るんですよ。エラが張ってる方はトップにボリュームがあると小顔効果があって良いですよ!」


小顔効果が必要ってことかい。


これ、無自覚の天然なのかと思いきや、悪意のない本音という自覚はどうやらあるらしい。


「僕飲むと結構毒吐いちゃうので」
「いや飲んでなくても今毒吐いてますよね?」
「いや花岡さんの方が毒ですよね?」
「いやいや、私全然毒吐かないですよ」
「だって美容院嫌いなんですよね?」
「嫌いです」
「それなのにわざわざ指名して頂いてありがとうございます。僕ら美容師って結局、指名もらってなんぼですからね」
「ああ、Eさん(美容師)を指名してるのは、美容師さんとの会話でも苦じゃなかったので」
「ちょっとちょっと、恥ずかしいです」
「飲むともっと毒吐くんですか?」
「いやあの、例えばですよ? 血液型何型? とか聞いてるのに、何型に見える? とか聞かれると、「あ、いいやそんなに興味ないから。大丈夫大丈夫、もう聞かないわ」ってなりますね」
「毒ですねー」
「花岡さん何型ですか?」
「O型ですよ。よくB型かAB型に間違えられますけどね」
「僕もよくB型に間違えられるんですよ、O型なんですけど。えーB型でしょーみたいなテンションになると「じゃあB型でいいから。うん大丈夫大丈夫」ってなりますね」
「AB型に間違う人は、抜けてるっていうんですよね、私を」
「抜けてるんですか?」
「や、人の話を聞いてないときがあって……」
「それただ冷たいだけじゃないですか」
「いや、興味ないことべらべら喋られて適当に相槌打ってると、そこに食い付かれることがあって。食い付かれても「え? 私今なんて言った? なんの話してたっけ?」みたいな」
「毒ですわー尖ってますねー」


こういう話がなんだか出来てしまう、そんな美容師なのである。

 

逆にこの感じは、信頼出来てしまう。腹の底がわれているこの感じ。


・正直者で
・仕事にきちんと責任感のある
・腕が信用出来る美容師
を選びたいのであれば、基準は多少毒舌くらいがちょうど良いと知った。


かくして私は美容師を指名するようになったのである。


根っからのお一人様にはそこまでのハードルはないのだろうが、私みたいな「お一人様が恐いのを克服したいお一人様」にこそ、美容師を選んでみることをおすすめしたい。


お一人様恐怖症の人は、基本的に対人恐怖の一種だと私は思うわけだが、だからこそ「美容師を指名」なんてハードルが高いと思いがちだが、そこは敢えて指名した方が楽である。
毒舌な美容師を選んでみると良い。あくまで心地の良い程度の毒舌。本当に心底客を馬鹿にしている美容師はまずまず人として論外なので、そこは避けよう。


かくして私は髪の毛をまた切った。
指名の美容師に「出来ます、出来ますよ? でもこれ以上切ったら梅雨時はクセ出ますし、というかメンズカットですよ?」と言われつつ、「あ、じゃあその辺は塩梅で」と答えつつ、切った。
「梅雨時になって「クセ出て来たんでストパーして下さい」はなしですよ? きちんと髪の毛のケアして下さいよ? あと、美容院来るの面倒くさがらないできちんと来てくださいね!?」と言われつつ、切った。



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美容院嫌いを受け入れてくれる美容師なので、とても気が楽である。
恐らく今後もしばらくは美容師を指名することになるだろう。