話題:『隣人の収穫』終演後録
2017年11月18-19日ふたり芝居『隣人の収穫』終了。
”酒そんなに飲まなくていいか組”の私たち(鐸木花岡丸元)は、
安いファミレスでささやかな打ち上げを。
20:30 新中野の某ガストにて。
* * * * * * * *
のすり:じゃあはい。というわけで『隣人の収穫』が終わりましたー。
三 人:(口々に)お疲れ様でしたー。
のすり:お疲れ様でした。いやー皆さん本当に、短い期間で……一か月ないし、二週間くらいだよね。
丸 元:二週間。
南帆子:仕上げたのは二週間。
のすり:丸元さんは公演終わってからすぐ駆けつけてくれてね。
南帆子:うん。駆けつけてくれて。
のすり:で気付いたら()無くなっちゃった。*1
丸 元:そうっすねー。
の・南:(爆笑)
のすり:丸元浩司無印になっちゃったってあとで怒られるかな。まあそれはおいといて。終わりましたね。何だかんだ。
丸 元:あっという間でしたね。
南帆子:早かった本当に。「もう本番?」って思った。
のすり:じゃああの終わったのでネタバレありきで色々話しましょう。
~ここから本編ネタバレ~
のすり:脚本読んだ時にどう思った?
南帆子:私は、台本貰う前にプロットを何となく聞いてて。『男がいてね、女がいてね。男はゴミ漁り男でね。女の出したゴミ漁ってんだけど、でもその女は……』って。最初さ、本当に妹だったよね?
のすり:そう、最初は本当の姉妹だった。
南帆子:『でも、妹の方はゴミ漁り男が好きなんだけど、ゴミ漁り男が好きなのは女の姉っていう三角形があるから、ゴミ漁られてて妹はちょっと「嬉しい」って思うんだけど、男「いえ僕はあなたに興味はありません。あなたの出すゴミに興味があるんです。」っていう話』って聞いてて。
丸 元:へー。
南帆子:で、ちょうどその日に、丸元さんの『ひねもすほろすけ』*2の動画を見たんですよ。「この声にその役やらせるんだ」、って思って。なんか、良い声じゃないですか。良い声なので。「この良い声にそんな変態な役をやらせるんだなぁ」って思って。そこは鐸木のキャスティング力。
のすり:ザイロでの丸元さんを見てて、「あーなんかこの人は変な人だ」っていうのがなんとなく分かってたんで。『まともそうに見えておかしい人』をやらせたかった。
丸 元:あー。
のすり:最初は南帆子の方が変に見せて。でも絶対丸元さんの方が変だから、後からひっくり返して貰おうと。結果『両方変だった』っていう形に。
南帆子:『両方変』。
丸 元:もうこれ、アレですよ。このコラム読んだ方からは変な役しか来ないですよ。
のすり:虫を食い。
南帆子:断食をし。
のすり:コーラしか飲まず。*3
の・南:(笑)
のすり:変な役が来るね。
丸 元:まあまあまあ……。僕は最初、読んだ時。まあ基本、登場人物から台本は絶対読むんですけど。一番最初に思ったのが、こう三人名前書いてたじゃないですか。カマツカ、ヒトトセ、イトウ。*4
のすり:そう、頭の人物紹介のところには関係者三人の名前書いたんですよ。
丸 元:「え、三人?」って。「のすりさん出るんだー」って最初思ってて。
のすり:(笑)
丸 元:「二人芝居の中に行くのか俺が」と思ってて台本読んだら「二人しか出ねぇ」って。最初「え、イトウが誰?」って思ってて。最初はヒトトセだと思って女を読んでたんで。で、最後に「コイツがイトウかー」ってなって。で、まあ、普通に自分の役的に思ったのは「うわーまた変な役来た」と思いました。
の・南:(笑)
のすり:でも第一印象だとさ、そんなに(キャスティングする側が)「変な役を当てよう」ってなんない気がするんだけど。
丸 元:いやでもどうかな、四月くらい……の舞台から変な役がちらほら。
のすり:何でだろ(笑)
丸 元:僕、二人芝居やったのが本当に久々だったんで。四年、五年ぶりくらい? すごい、新鮮に、面白かったです。
のすり:ひえー恐縮です。いやでも本当に、私の注文に……その「そこ倍速でセリフ言ってくれ」とか。私すごいリズムで言っちゃうので。こういうテンポでとか、こういう音でとか。それにすぐ応えてくれたのは有難かったな。倍速とか絶対出来ない私。
南帆子:そうだね(笑)
のすり:私が絶対出来ないから、だからそれを見てると「すげーな、ありがてーな」って思って。
南帆子:なんか、鐸木さんの演出って「テンポテンポ」って言うのに、「対話もちゃんとしろ」「こういう状態でいて」みたいな。体の状態と、気持ちの状態と、を言った上でテンポも付けてくる。
丸 元:ほうほうほう。
南帆子:どちらかというとテンポや音演出するのってエンタメ系というか。会話劇の方が「対話をしろ」って演出付けてくると思うんだけど……やっぱ思ったのが、なんか書くものはパッと見会話劇なんだけど、演出が結構エンタメっぽいところはあるな、って。
のすり:そもそもエンタメ好きだからね。観るのはエンタメ系のお芝居の方が好きなんですよ。でも書くのは会話劇の方が。
南帆子:(丸元へ)どうでした? 稽古は。
丸 元:楽しかったですよ。
のすり:良かったー。
丸 元:基本的に演出に応えられるっていうことが、自分の中では役者の本分というか、役者のあるべき立ち振る舞いっていう。その、芝居を作って行く中だったら、演出の言うことが絶対だと思ってるんで。基本的には演出が「こうして」って言ったことに応えられるに越したことはない。まあそれに応えられていたのであれば。
のすり:ありがたい。ありがたい。
丸 元:「とりあえずこれやってみて」って言われて自分が出して「それでGOで!」っていうのも好きですし、やってみて「ちょっとそれ違うけどこういうのでやってみて」っていうのでやってみるのも好きですし。
のすり:でもなんか浩司の場合は、テンポで演出を付けてもハメてくるんだよね。前後の感情をハメてくる。「テンポは早くなったけど感情が抜けちゃう」とか「感情は入ってるけどテンポ遅くなっちゃう」とかっていう人が多い中で、両方とも当てはめてくるから、すごいコレはね、ありがたい。相乗して一緒にやってくれる。
丸 元:へー。
のすり:私の中で、感情とテンポって比例してると思ってて。感情がアガればアガるほど高まるからテンポが上がると思ってるから。それがちゃんと、言わなくても比例してくれたのが、演出としてもね、ある意味ラクだった。
丸 元:俺にそんな潜在能力が……。基本的に俺自身が役の感情を大事にしたいなって。
のすり:それは本当に見てとれた。
丸 元:その、この時にこの言葉をもらってどういう感情になるのか。台詞一個でも、感情によって全然言い方が違うし。その時々の、感情が大事だと。芝居ってやっぱ生ものなんで。今回四公演やって、四公演全部、基礎というか基本は同じなんですけど。やっぱ四回とも全部違う「受け取り方」と「発信の仕方」だったかなって思います。
* * * * * * * *
丸 元:なんか、急にこんな真面目な話すると……。
のすり:ふぁあああ! って?
丸 元:わあぁぁ! ってなりますね(笑)
南帆子:なんかねなんか。小屋入りしてから、まあ他のチームの方々との交流があって。その中でなんかもう、水を得た魚のようなボケをガンガンかましてくるんですよ。
のすり:『193』チームの加藤さんと宮川さんがすごい元気なお二人で、それにノってね(笑)
南帆子:そうそう。宮川さんをいじりまくってて。
丸 元:そうっすね、面白かったですね(笑)
南帆子:だからなんか「ああ秘めてたのかな」って。
丸 元:いやまあ、その……ケースバイケースなんです。
のすり:「コイツあ絶対拾ってくれるだろ」みたいな。
丸 元:「拾ってくれっからイケるだろ」っていう。でもその、拾ってくれないから「くそー」とかではなく、やっぱ人に合わせて。
南帆子:私のボケ全然拾ってくれない……。
のすり:(苦笑)
丸 元:いやもうそれ。それ、たぶん僕が一番驚いたんですけど。小屋入りしてから南帆子さんメッキが剥がれたように訳分からないことばっか言ってくるんですよ。
のすり:そうもう、訳分かんないでしょ?
丸 元:「モノボケします!」っつってモノボケするんですけど、全然ボケてないんですよ。
南帆子:うそ!? ボケてたよ。
丸 元:ある種ボケてましたけど。なんかもう、会話のボケではなく「お、おう」「そうか」みたいな……。
南帆子:全然拾ってくれなくて。私の渾身のボケを。
のすり:ちょ、ちょ、ちょ、何やったの? ちなみに。
丸 元:黒いカーディガンを、頭から被って……「カオナシ」
のすり:いいいい
南帆子:あとその、『193』チームの加藤さんの衣装のライオンのスリッパがあったじゃん。あれを頭に乗せて「し~んぱ~いないさ~」
のすり:いひいいい!!(爆笑)
南帆子:笑ったほらほら!!
丸 元:いやこれたぶん苦笑い。
のすり:私そういうのね、笑っちゃうんだ!
南帆子:あとリセッシュを構えて、「動くな! 手を挙げろ!」
のすり:あー! もうヤバいなー! なかなかのクオリティでかまして来ますね!
丸 元:本当に、どうしたらいいのか分からないんです。「え、こんなんだったっけ!?」って思いながら。
のすり:今まで稽古中にボケとか何も一切してこなかった人がさ。
丸 元:急に! メッキが剥がれて目ぇキラキラさせてボケてくるから。
南帆子:違う、人見知りなんですよ、人見知ってたんですよ。
丸 元:小屋入りから急に人見知りなくなったんですか?
南帆子:そう、あの『193』チームのお二人にほぐされて。ほぐされて「人見知らないぞ」って。
丸 元:人見知らない(笑)
のすり:人見知らないと「心配ないさ~」って言い始めるの?
南帆子:そうそうそう。
丸 元:心配ですよそれ。
のすり:一回私が、音響のチェックをしてる時に。ふと見たら南帆子が真横に立ってこっちを見てて。「な、なんだ?」と思って聞いたらさ、「モノボケを考えました」って。いやもう嫌な予感はしたから、私はそんなことよりも、操作すごい練習したかったから「去れ!」て言った。
丸 元:(爆笑)
南帆子:怒られてトボトボ帰って行ったからね。
丸 元:いやその、それがアレなんですよ。リセッシュを構えて「動くな!」ってやって来たから、俺が「それのすりさんに見せて来て下さい」って言って。南帆子さん「絶対怒られるよ……」って行って、「怒られたー」って戻って来て。
のすり:本当にどうすればいいんだ。
南帆子:なんか、皆が笑ってくれればそれで嬉しい。
のすり:一人芝居でやるか? それ。
南帆子:あ! でも一個ウケたのがあったじゃないですか。
丸 元:ありましたか?
南帆子:あのね。楽屋のね電気をね、客入れ始まったら電球からブル暗(ブルーの暗転)に変えるんですよ。電球を切ろうとしたら。案外なんかこう、チカチカするから。「おっ」と思って。「チカッ、チカッ、チカッ、ピカーッ! ひらめいた!」って言ったんです!
のすり:(爆笑)
南帆子:そしたらめっちゃ笑ってくれたの! 『るさんちまん、なう』チームのお二人。
丸 元:今聞いてももう鳥肌がヤバいっす。
南帆子:でも笑ってたよね?
丸 元:うわあああ。
のすり:『るさんちまん、なう』チームこういう笑いじゃないの!? 大丈夫!?
南帆子:いや「あっはっはー!」って。
のすり:優しいなぁ!
丸 元:でも、その……折れない精神はいいと思いますよ。
のすり:折れないからね。
南帆子:折れない。
丸 元:でもなんか、人に気を遣わせるボケはダメだと思います。
のすり:「自分で回収しなさい」っていつも言ってるでしょ。 「回収出来ないボケはしちゃダメだよ」って……
南帆子:(じと)……。
のすり:……なんでそんな目で見るの。
南帆子:(鐸木の眼鏡指して)それダテメガネ?
のすり:ダテメガネじゃねぇよ! 度入りだよ!
(一同黙)
のすり:……え? ……え!? ちょっと待って待って待って!!
丸・南:(爆笑)
のすり:どうすればよかったのこれ!!
南帆子:これ(鐸木の手を差し)あのさ、右手の薬指さ、骨折れて曲がってさ、これ以上伸びないんだよね?
のすり:それ事実だからね!
南帆子:(笑)
丸 元:ただの説明でしたよね……。
南帆子:だって伸びないんだもん。
のすり:確かに伸びないんですけど。ボケじゃないから。
丸 元:何で骨折したんですか?
のすり:なんか突き指しちゃって痛てぇなって思ってて放っておいたらたぶん折れててそしたらそのままくっついちゃって伸びなくなっちゃって……っていう説明をしなければいけないんだよ! ねえ!
丸 元:(爆笑)
のすり:しかもコレ南帆子は知ってるよね?
南帆子:(フーーーーー……)
のすり:いやタバコ「フー」じゃねえよ!
丸 元:ふかしてる場合じゃないですよ!
のすり:たまにすごい持て余すんです……南帆子さんは……。
南帆子:持て余す(笑)
丸 元:もう恐怖でしたね。「うわあああ、うわあああ、来るぞ!」って。でもなんか、その……すごく構って構ってって来るので。
のすり:そう、人に構って欲しいんだよね?
南帆子:うん。
丸 元:急に本当メッキ剥がれたなって。ボケを考える度に「ボケ考えた!」って挙手するんですけど。是非その手は降ろして頂いて。
のすり:(笑)
スッ(挙手)
南帆子:ボケ考えた。
丸 元:……今ですか?
のすり:(恐々)……どうぞ……。
南帆子:「クーリスマスが今年も……♪」赤いから。
※この日南帆子は赤いカーディガンを着ていました。
南帆子:……「クーリスマスが今年も……♪」
のすり:もうやめろやめろ!
丸 元:うわあああ!
のすり:本当にやめてくれ!!
(中略) ※この間、南帆子、ボケ倒す。
~しばらくして~
のすり:もうさーこの感じやめようよー。もうやだこれー。
丸 元:急にコラム内容変わっちゃいますよね……。
南帆子:皆いじってくれるから嬉しくて……。
のすり:いじってねえ。
丸 元:いじってないっすよ。
南帆子:嬉しい……。
丸 元:中盤は大幅カットですね。*5
南帆子:えー
* * * * * * * *
のすり:本番中、アクシデントとかありました?
南帆子:アクシデント?
丸 元:千秋楽は、ちょっと、風邪の影響か。鼻水が止まりませんでしたね。
南帆子:そうだね。
丸 元:あと汗。
南帆子:汗は……(のすりを見る)ね。
のすり:汗はね、照明のせいですかね*6
南・丸:(笑)
丸 元:あとあの、一日目のソワレかな? 最後終わって、暗転して明転して礼してハケる時に。
のすり:うん。
丸 元:暗転して明転したと思ったら、俺にサスがついて。
の・南:(爆笑)
丸 元:「えっ!?」「サス付いた!」って。すぐ明転したんですけど。
のすり:私その瞬間に今まで一度も使ったことのない「サス」を使ったんですよ。
南帆子:なんでだよ!
のすり:「丸元ォー!」って気持ちでフェードを*7
丸 元:あのサスはさすがに動揺しました。
南帆子:「サスはさすがに?」
丸 元:これカットでお願いします。
のすり:もうすみません(いろいろ)
丸 元:あと、ちょっと音が。あのMが一瞬止まって。
南帆子:そんなんあったっけ?
丸 元:場転暗転の時。曲中にゴミ袋を両手で持って、(音が出るから)微動だにしないようにしてるんですよ。
のすり:あ、そうだったんだ。
丸 元:曲が止まっちゃったから、「ゴミ袋持てない!」「音聞こえちゃう!」と思って。でギリギリで曲が鳴ったんでシュワッ! って持って。
のすり:あれは、今まで一度もなかった私のパソコンのiTunesが停止するっていうアクシデントがありまして。
南帆子:基本的に舞台上のアクシデントっていうよりもオペのアクシデントだった。
丸 元:そうですね。
のすり:もーね、本当に小屋入りしてから、いろいろパヤパヤで……いやオペは本当にすみません。
*ぼちぼち締めます*
丸 元:僕としては今年の締め括りには良い作品に携われたかなって思います。
のすり:やったー。
南帆子:ありがとうございます!
のすり:うちらも始まったばかりなので。言ってもまだ一発目。
南帆子:ね。そうだよね。京央惨事として、外部というか、きちんと打ったのはね。
丸 元:そのきちんとした初作品に、携われて良かったです
のすり:ありがとうございます。
丸 元:色んな作品見てみたいなって思いました
のすり:また、出てくれる?
丸 元:是非、あのお声がけ……。
南帆子、鐸木の肩のショールを指し
南帆子:それ縛って。
丸 元:いますげえ良い話を……!
のすり:締めに入ろうとしてたのに!
丸 元:始まった……!
のすり:……ショールをどうすんの?
南帆子:裾を、ちょっと縛って。
のすり:うん(ゆるく縛り)
南帆子:もうちょっと。
のすり:もうちょっと(縛り)
南帆子:もうちょい。
のすり:うん(ぎゅっと縛り)
南帆子:「プロデューサー」
(一同黙)
丸 元:……はいあの次もね是非ね、あの、お声がけして頂ければ。
のすり:もう絶対来てくんないよ! ねえ!
南帆子:うそ! うそ
のすり:本当にこれに懲りず……。
丸 元:是非(笑)
南帆子:また来てね。
丸 元:そんな教育番組みたいなノリなんですか?(笑)
そんなこんなで
『隣人の収穫』ご来場まことにありがとうございました!
【本番写真】
集合ー
上左から:『るさんちまん、なう』石渡未紀さん、塩田悠花さん
『193』加藤ひろ海さん、宮川ゆきえさん
(白飛びすみません……)
客演ゲスト丸元浩司さん!!
本当にありがとう~!!
~おまけ~
* * * * * * * *
『隣人の収穫』ありがとうございました!
※近日『隣人の収穫』脚本公開&本番の模様をYouTube配信予定。
しばしお待ちくださいませ。
↓以下、脚注↓