テースターズ座談会その2 延原奨磨&伊藤えりこ編
前記事(テースターズ座談会その1)
http://ko3z.hatenablog.com/entry/2019/03/20/133711
テースターズ対談の第2弾です!
今回は、サハラ役の延原奨磨さんとナマカベ役の伊藤えりこ(Aripe)さん
(以下、延原奨磨:延原、伊藤えりこ:えりこ)
のぶとえりこ
のすり:じゃあ、お二人の役者としての履歴、みたいなものから聞いていきたいと思います。まず、のぶくんは?
延 原:そうですね……まず声優の専門学校に高卒からすぐ通いまして、そこで二年間、授業なりワークショップなり受けて。で、そのあとパントマイムの方も少しかじって。
のすり:声優とパントマイムを両立していたってこと?
延 原:いや、声優はそこからばっさり一回、切ったことがあって。パントマイムと、一応劇団も一年だけやらせて頂いていた時期もあります。そこで、劇団とパントマイムを両立する形になって……気付いたらパントマイムだけになってた……。
の・南:「気付いたらパントマイムだけになってた」(笑)
延 原:一年で劇団を辞めたので。しばらくパントマイムの方で舞台に立たせて頂いていて。でも、なんか……「喋りたいな」って感じて。それでやってたら、また「喋る」機会があって。これから先どうなるか分からないですけど、今はとりあえずフリーで役者やらせてもらってます。欲を言えば、声優もお仕事頂きたいなって思ってます。
のすり:ふむふむ。伊藤さんは?
えりこ:私は、元々大阪でやらせてもらってて。小劇場とか、あと新劇とか。
のすり:あ、新劇だったんですね。
えりこ:そう。客演として出演させて頂いたり。まあ大体小劇場が多かったですけど。で、去年の春に東京に出て来て。「やってみよう」と思って。引っ越しして来たんですね。大阪ではずっとやってたけど、まあ東京では初心に戻って頑張ろう、と。
の・南:おおー。
えりこ:で、東京出て来てすぐ公演が一本、あったんですけど。それが秋くらいまでの公演だったのかな? でもその後(出演が)なくて。「暇やなー、どっか舞台立ちたいなー」「東京の劇団の舞台に立ちたいなぁ」って思ってて。それまでは東京で公演があっても、大阪の劇団の東京公演やったから。そういうところに出させてもらうことが多かったんですけど。「東京、ええなぁー」「好きやなぁー」って思ったから、一度来てみようと思って。「東京の劇団出たい」って思ってたら、ね。鐸木さんに。声かけてもらって。
のすり:タイミングが良かった(笑)
えりこ:一度も私の芝居観たことないのに(笑) 京央惨事さんも(自分が観たこと)ないのに(笑)
南帆子:そうですよね。観たことないのに……。
のすり:そうですよね……。
南帆子:ありがたいです。観たことないのに快諾して頂き……。
えりこ:お互い様ですよね(笑)
のすり:伊藤さんたまたま、バイト先で一緒で。すごい面白いし良い方だなって思って。「やりません……?」って感じで声かけて。
えりこ:人柄が良いからね(笑)*1
の・南・延:(笑)
南帆子:人柄でね、もう(オファーを)。
のすり:そう。だけどお芝居すごい面白くて「やっぱりな!」と。(声をかけて)ラッキーでした(笑)
えりこ:鐸木さんが、前回の京央惨事(『おくやみ(仮)』)の台本送って来てくれて。企画書も送って来てくれて。で、私はすごい遅ればせながら、後から自分が出演した作品のDVD渡して。っていう感じですね。稽古始まってから。
の・南・延:(笑)
のすり:蓋を開けてみて、って感じでしたよね。でも本当にそれでもイメージ通りで。「やっぱりお願いして良かった」って思っています。
延原奨磨=サハラ
テースターズ登場人物#3
【サハラ】
303号室の住人。一人暮らし。
人当たりが良く、よく主婦の皆さんの話し相手になっている。
のすり:じゃあ、ご自身の役柄について。サハラくん、どうでしょう。
延 原:そうですね……似てるところは親近感がありますけど。これ、どこまで言っていいのか分からないですけど……男女問わず……自分から言うのも何ですけど、周りから結構好かれるタイプ、というのは(ある)。パントマイムの方々からもよくお世話になっていて。面倒見ていただいてます。
のすり:そうなんだ。
延 原:あ、でも、オカマの方から好かれることも多いです。
のすり:あー(笑)
延 原:僕はそんな気はないんですけど。
えりこ:「ない」って言って断るの?
延 原:「第三者目線で行きたいので」と……。
の・南:「第三者目線」(笑)
えりこ:断り方えげつな!
四 人:(笑)
延 原:いやあの、きちんと告られたわけではないんですけど、よく「あら残念」みたいな(笑)
えりこ:確かにちょっと中性的というか、めっちゃ「男! 男!」はしてないよね。
延 原:女っぽい、と言ったら言い過ぎかも知れないですけど。
南帆子:女っぽくは、ないけどね。
延 原:ただ、なんかこう、女性からも「友達として話しやすい」っていうのは、言われたりしますね。
の・南・伊:ああー。
延 原:前に、「君は色んな人から『好かれる才能』があるから大事にしなさい」って言ってもらえたりとか。そういう、話しかけられやすい、っていうのは、あるかも知れないですね。
のすり:親しみやすさはあるなって思う。
延 原:逆に、(役と)ちょっと違うところは、自分のことをはっきり言うっていうところですかね。
南帆子:あー。
延 原:サハラはちゃんとはっきり言うけど、僕はこう、どもっちゃう時もあるので。そこまで(サハラが)決心できるっていうのは、すごいなーと。
のすり:なるほどね。じゃあサハラに関しては、“自分ではやらないこと”をやっている感覚なんだ?
延 原:そうですね……。
南帆子:ほー。
延 原:自分から人に相談とかできない。自分から「言おう」という決心は付かないというか。
のすり:サハラはね、結構受け身と言うか。色んな問題が降りかかって来ている。
延 原:そうですよね。そこでちゃんと“言える”というところがすごいな、と。
のすり:じゃあ今回(の役柄)は、挑戦?
延 原:何というか……憧れ、ですかね。
の・南:おー……。
延 原:僕はもう、悩みがあっても「聞いて欲しい」と思わない。言えなくて、一人で「がああああ」ってしちゃう。枕濡らして泣いてることが多いです。
南帆子:泣いてるんだ(笑)
えりこ:泣くほどの悩みが……(笑)
のすり:自分の中に入れちゃうんだ。
延 原:自分の中の、“重すぎるもの”は人には出さずに、一人で……が多いです。そこはサハラとは逆かな、とは思います。「ここで言うことじゃない」って(考える)。周りを沈ませたくないというか。
南帆子:その考え方は男性らしいのかもね。なんか、男性の方がそういうもの、自分だけで抱え込むイメージ。「自分が我慢すれば場が収まるんだから」とか、「自分だけで処理できることなんだから」とか。女性の方が、そこを共感しあって共有して、解消というか。
えりこ:相談したりするけど、男の人はあまり話したがらない。
南帆子:そこは、ある種“男らしい”のかも知れないね。
えりこ:家で泣いてるけどね!
一 同:(笑)
延 原:家ですごい女々しいので……「もうダメだー」みたいな。
えりこ:確かに年下キャラというか。
南帆子:年下キャラ(笑)
えりこ:実際年下やけど。
延 原:よく言われるのは、見た目は年齢より上なんですけど、ちょっと仲良くなれば「あ、下だなぁ」って。
のすり:実際のぶくんが一番若いもんね、今回。今いくつ……?
延 原:今年25になります。
のすり:のぶくんがダントツで若いんですよ。
南帆子:ね。ダントツ。
えりこ:ホンマやぁ。
延 原:しかも僕、男一人なので、最初は不安だったんですけど……。
一 同:(笑)
のすり:肩身の狭さがね!
南帆子:「着替えてるから出てて」とかね(笑)
えりこ:「家帰って来いや」とか言われて(笑)
延 原:理由はありましたけど……(笑)*2
南帆子:「まだ帰って来なくていいよ、ゆっくりしといで」とか言われて(笑)
のすり:酷い扱われようだ。
延 原:いや、でも皆さんすごく優しくて、救われました。
の・南・伊:(笑)
のすり:良い子だ……。
延 原:そんな感じです(笑)
伊藤えりこ=ナマカベ
テースターズ登場人物#4
【ナマカベ】
101号室の住人。夫と二人で暮らす。
礼儀正しく朗らかで、しっかりした出来た奥さんだと評判。心理学をかじっているそう。
のすり:えりこさんは、どうですか? ナマカベ。
えりこ:ナマカベ。「素直な人やな」、とは思いました。人間なので(役と)全然違う、ってことはないんですけど。でも割りと、自分とは違うタイプの人間だなーとは思ってます。
のすり:おー。
南帆子:ふむふむ。
えりこ:回って来ない役柄やし、普段は。
のすり:そうなんですか(笑) 普段どういう役柄が多いんですか?
えりこ:そんなん言われたらね、「どんな役柄なん!?」ってなるけど(笑)
の・南:(笑)
えりこ:でもなんやろ……そやなー……まあよく喋る役は、多いですけど。大人しい役は全っっ然回って来ないですけど。
のすり:えりこさんは、声がすごい綺麗で。いっぱい喋って欲しくなる。
えりこ:やっ。噛んでばっかりやけど。
のすり:いやいや。やっぱり今回、ナマカベはぐわーっと喋る役なので。聞いててすごく聞き心地が良いです。
えりこ:そこはもっと追求して行かなあかんなって思ってるところです。
のすり:皆さん、役にこう、親近感を感じる部分があるって言って下さいますが、ナマカベさんはどちらかというと仮面を被った人なので。そういう意味でも、「自分とは違う人間を演じている」というか。
えりこ:でもその中で、やっぱりどこを本当の“ナマカベさん”にするか。それを自分で、部分部分で切り取って行けたらなぁ、と感じてます。
のすり:ポッと出て来てしまう素、みたいなところが見てみたいです。
えりこ:それを探るのも面白いなー、と。もっともっと自分で噛み砕きたい。最初読んでて、どんな人かよく分からなかったんですけど。結構迷って。今、光が見えかけてる感じ。自分の中で。「こういう目的があって、こういうことしてるのかな」っていうのが分かって来たので。……あと二週間くらいですけど(←対談収録時)
のすり:そうですね。稽古で噛み砕いて頂けたら。
えりこ:まだね、気持ちと体と、バラバラなんで。頑張ります。
カラオケバーで盛り上がる?
延 原:最近はもう、ずっと『一人飲み』ですね。
えりこ:昨日ももう、稽古帰りに三茶歩いてても「このまま飲み行こうかなー一人で」言うてて。
延 原:基本、自分の家から近いところをうろうろと。駅前がすごい飲み屋街で。あとは、カラオケとか。よく行くのは、カラオケも付いてる居酒屋とか、カラオケバーとか。
えりこ:一人で?
延 原:一人で。もう常連なので、「どもー」みたいな。
えりこ:カラオケバーって、全然違う他のお客さんとか居てるやん。どうやって歌うの? 選曲とか。なんかスナックとかでも、歌う時に何か、「全然知らない人たちの時間を共有してるんや」って思ったら、めっちゃ選曲悩んじゃう。
延 原:僕結構、(人に)合わせるのが好きだったりするんです。結構、常連さんとかとも仲良くなったりすると、他の人にリクエストしたりとか。お互いにリクエストしあったりとか。
のすり:へー。
延 原:仲良くなると、「すげぇの歌っちゃおう」とか。
えりこ:なんやろ「すげぇの」って(笑)
延 原:自分は結構、負けず嫌いがあったりするので。周りが盛り上がってると「じゃあ僕もこれ入れよ」みたいな。
のすり:十八番があると。
延 原:十八番。
えりこ:十八番なに?
延 原:十八番、と言っていいのかわからないですけど、スキマスイッチとかよく歌ったり。あとディズニーとか……。
のすり:ディズニー歌うの!?
延 原:ディズニー歌ったらみんな、「アイツすげぇな!」ってなります。
のすり:ディズニーの何歌うの?
延 原:よく歌うのは、ライオン・キングの『ハクナ・マタタ』。
一 同:(爆笑)
のすり:めっちゃ盛り上がるじゃん!
えりこ:「すげぇヤツ」やった(笑)
延 原:あとはアラジンの『フレンド・ライク・ミー』。
のすり:めちゃくちゃ盛り上がるじゃん!
延 原:お店の人と歌えたりもするんで。女の子とだったら『ア・ホール・ニュー・ワールド』とか。
えりこ:すげぇ(笑)
のすり:盛り上がるしかないじゃん!
延 原:盛り上がりだすともう、楽しくって。もう“やめられない趣味”ですね。
一 同:へぇー。
えりこ:お酒も強いの?
延 原:強くは、ないです。自分のペースでちびちび飲んでます。基本、4~5杯くらいしか飲まない。(充分強いと思うby京央惨事)
えりこ:何飲むの?
延 原:レモンサワーとか。最近ハマってるのは、みかん酒っていうお酒で。
南帆子:リキュール系?
延 原:と言うか、日本酒にみかん漬けて。あらごしみかんのみかん酒があって。それがすごい美味しいんですよ、つぶつぶも入ってて。あ、それです。日本酒だったか焼酎だったかに漬けてあって。それが好きでハマってますね。それをソーダ割にしてしゅわしゅわしてます。
のすり:かわいい。
南帆子:しゅわしゅわ。
えりこ:しゅわしゅわ。
延 原:そう言う部分はちょっと、サハラに似ているかも知れない……。オリーブサンド(劇中に登場するお菓子)買っちゃったり。甘いもの好きなのかなって。
のすり:甘いもの好き(笑) そうなんだ。
南帆子:全然(一人飲みしそうな)そういうタイプに見えなくない?
えりこ:ね。どっちかっていうとカフェとかにいそうなタイプやね。
南帆子:そうそう。一人で飲みに行ってどうなるの?
えりこ:どうしたいの?
延 原:なんか、元々友達と飲む機会がたくさんあったんですけど、同じメンツだとずっと同じ話ばかりだったりとか。帰りの時間気にしないといけない、とか。だんだん、「一人で飲みたいな」って思ってきて。たまたま、一人飲みしやすい店をパントマイムの先輩に教えてもらって。「あ、ちょうどいいところ見付けた!」って感じで。
南帆子:宅飲みだと違うの? 一人で飲みたいっていうのは。宅飲みじゃだめなの?
延 原:いや、“一人で飲みたい”とは、厳密に言うとちょっと違うんですよ。人と会って、話はしたいので。
南帆子:“新しい人間関係を作りたい”。
延 原:まあ……。
なつこ:それほど深く関わらないしね。(すぺらぼ。参入)
延 原:関わらない、こともありますけど、常連同士でどっか行ったりとかあります。
のすり:結構仲良くなれるもんなんだ?
延 原:まあそうですね。常連さんの一人と、僕の一回り二回り年上の人と、去年ライブ行きましたし。フェスみたいな。
のすり:めちゃめちゃ良いじゃん。
延 原:演劇も観に行きましたし。そういう仲になる人もいます。なんですかね……そういう新しい関係、が欲しいっていうのもありますけど。自分が自分で飲みたいときに飲みに行って、誰かと話をして、好きな時間に帰る。っていうのをやりたい。時間に縛られたくなくて。
のすり:友達と行くと、一緒に行って一緒に帰らなきゃいけないから。終電とか。
延 原:そういうの気にしちゃう。だからもう、自分で飲みに行って自分で帰る、っていうのがしたい。そうするとだんだん歯止めが利かなくなるんですけどね。
えりこ:ヤバいヤバい。
延 原:最近はもう、グッと我慢して。
南帆子:フリーダム。
えりこ:意外。
延 原:結構フリーが好きです。縛られたくない。最初は人見知り感があるかも知れないですけど、話しかけてくれたりとか、趣味があったりすると。一気に距離が縮まる。
のすり:結構アクティブ。
南帆子:全然見えない。そういうイメージは、ない。
のすり:話してみれば結構アクティブなんですよ。
南帆子:あ、そうか。この座組、一度もお酒飲みに行ってない……。
のすり:あーそうね……。
南帆子:京央は酒弱んで、強制は全くしないからね。軽く「行こー」ともなりにくい。
延 原:もし良ければ近場で安いとこも、ちょっとオシャレなバーでも。紹介できます。
のすり:そのうち。
南帆子:そのうちな(笑)
『捨てたくても捨てられないもの』
のすり:では……じゃあ、伊藤さん。『捨てたくても捨てられないもの』、ありますか?
えりこ:『捨てたくても捨てられないもの』……!?
一 同:(笑)
えりこ:なんやろ……。
のすり:やめられないこと、でもいいです。
えりこ:やめられないこと。……お菓子食べちゃうとか。
のすり:えりこさんお菓子作り得意なんですよね。
えりこ:あ、そうです。お菓子がね、ストレス発散というか。
のすり:ストレス発散になるんですか?
えりこ:そうそう。なんか、丁寧にこう、「美味しくなれ」って思いながら作ることがストレス発散。
のすり:へー。
えりこ:簡単なもので良いんですけど。こないだの、ガトーショコラとか。
南帆子:めっちゃ美味しかった。
なつこ・ひろ海:美味しかったです!(すぺらぼ。参入)
のすり:美味しかった。
南帆子:めっちゃ美味しかった(二回目)。
のすり:写真載せておきますね ↓
えりこ:あとはチーズケーキとか。本当に簡単なものなんですけど、プリンとか。そういうのを作って。でも、一人やから家で。作ってもどうしようもないから。
の・南:(笑)
えりこ:好きやけど、食べんのも作るのも好きやけど、そんなワンホールもいらんし。誰かに持ってくのが楽しいね。で「わーっ」って喜んでもらったら、「良かった」って思う。
南帆子:テンション上がりますよね、あのガトーショコラ。
のすり:あれね。
南帆子:私がね、ちょっと喫煙所行って帰って来たら、お茶会の雰囲気になってて。私最初、あのガトーショコラみて「誰かが買って来て下さったんだ」って思って。
延 原:僕も思いました。
南帆子:誰かがケーキ屋さんで買って来たのかなと思ったら、まさかのえりこさんの手作りで。「え、これ手作り!?」みたいな。「すご!」って。
のすり:ね、すごい。
えりこ:辞めれない。あと服とかね、普通に。私ね、断捨離出来なくて。どんどん溜まってく。
の・南:あー。
えりこ:引っ越しする時に、大阪からやから距離があるから。思った以上に引っ越し代かかって。「これ単身パックで出来ませんか?」って言ったら「この量は一人暮らしの量じゃないですよ」って言われて。
のすり:えー。
えりこ:服も捨てられへんし、色々……。着物とかも集め始めちゃって。
のすり:わ、いいですね!
えりこ:古着とかやったら、いっぱいあるんですよ安くて。それで買い過ぎて、「こんなに着ぃへんのに!」って。でも捨てられへんから、それも引っ越しの時持ってきて。どっかに置いて来るってことがなかなか出来ない。本当に物の断捨離が出来ない。
のすり:そうなんですね……。
えりこ:出来へんから、最近はもう「あんま買わんとこ」って思ってます。
南帆子:これ以上増やさないように。
のすり:買っちゃうと捨てられなくなっちゃうんですよね。
えりこ:そうなんですよ! 安い服とかでも結局捨てられなかったりするから。みんないつ捨ててるんですか? 服とか。どういうタイミングで捨てるん?
南帆子:私、買わない……。
えりこ:買わない!?
南帆子:私買わないんですよ、服。全然買えない……買えない? 買わないんですよ。
えりこ:欲しいって思わない?
南帆子:思わない。着られればいい。
えりこ:マジで……!?
ひろ海:分かる……。(すぺらぼ。参入)
なつこ:私は服好きなんで、(えりこさんの)気持ち分かります。(すぺらぼ。参入)
のすり:私も好きなんで、溜まっちゃうんですよ。
なつこ:もうね、見に行くと出会っちゃうから、出会わないように(行かない)。行っちゃうともうダメですよね、出会っちゃうから。
のすり:うわぁ分かる……。
南帆子:一回鐸木さんに、「服買いたいから、服を選んで」って言って新宿まで買いに行ったんですけど。連れて行ってもらったんですけど、結局なんか、「南帆子は何買いたいの?」って。
えりこ:何も買いたくなかった(笑)
南帆子:服は欲しかったんです、着るもの少なくなってきたから。春だったし。「服は欲しい」。「じゃあどういう系統が良いの?」って聞かれて、「どういう系統……モノクロが落ち着くかな……」みたいな。
のすり:欲求がないんですよ。服に対する欲がないから。「何が欲しいんだ」ってなって。
なつこ:すごいこだわってそうに見えるのに。
南帆子:全然こだわりないです。服はもう、着られればそれで。モノクロだと落ち着くから、モノクロで着られれば。
なつこ:私、のすりさんの洋服が欲しかったです。
南帆子:私も青いあの柄のシャツ欲しかったです。
のすり:だめです(笑)
えりこ:もう捨てられへんから、赤いワンピース三着持ってたりとか。「でも形は違うやん!」とか言っちゃう。
のすり:あーめっちゃ分かります。
なつこ:私それ黒でやっちゃう。
えりこ:黒やったらでもね。まだ。
なつこ:でもはたから見れば全部黒じゃん? て。
えりこ:自分の中では違うから。それで全部捨てられなくなっちゃう。
のすり:捨てた後に後悔しますね。
えりこ:ああもうめっちゃ分かる!
のすり:「あれ着たかったのに!」みたいな。
えりこ:そうそうそう!
南帆子:なんかよく、「今日の気分はこの服の気分」とか言うじゃないですか。私、全くないんです。着たら一緒。「今日はこれ着たい」とか、全くない。最低限のTPOは考えますけど。
えりこ:えええええ(信じられない)。
なつこ:私も、稽古期間中はそうなる。いかに機能的か、しか考えなくなるみたいで。普段はね、色味があったりするけど、稽古期間中はもう、ざっくりしてくるよね。
のすり:もうその期間は「何が着たい」ってなくなるから。
なつこ:そう、もう「何でもいい」の。
えりこ:(花岡に)例えば「今日お芝居観に行こう」ってときでも、ないの?
南帆子:いや、ない……。
のすり:結構いつも同じ。パターン決まってるもんね。
南帆子:決まってるね。同じものを着まわして。
えりこ:それでええんや……。
なつこ:でも私も、断捨離してから、「要は自分にはこれがあればいいんだな」って見えるようになった。「自分が快適ならそれでいいんだー」って最近思ってて。そんなに買わないでいられるように、なって来てるかもしれない。
延 原:自分も、Tシャツがすごい増えて行くんですよ。Tシャツ好きなんで。
えりこ:あーっ(分かる)。
延 原:買い物行ったら買っちゃう。どんどんTシャツばっかり増えて行って。
のすり:Tシャツっていくらあっても足りない気がしません?
えりこ:分かるっ。
なつこ:南帆子さんとか加藤とか、ある意味超越してるんじゃないですか? 私たちはまだモノに囚われている。
えりこ:Tシャツなんて、別にいらんのに買っちゃう。だからTシャツだけの引き出しとかめっちゃあるし。
なつこ:二人は次のレベルに達しているような。
のすり:「モノなんて…」みたいな。
なつこ:私も早くそっちに行こう。
一 同:(笑)
ひろ海:ぶっちゃけ衣装合わせで皆さんの服の量見て、「なんでこんなにあるんだ!?」って。
南帆子:思いました!
ひろ海:ね?
えりこ:あれもちゃんと、柄とか色の括りで持ってきてるから。だから、一部。
ひろ海:ダメになったら、同じようなもの買い足す。
南帆子:同じです、私も。靴とかも、自分の基本が決まっていて。履けなくなったら同じもの探しません?
ひろ海:私今履いてるやつがそうなんです。6~7年同じもの履いていて、ダメになって来そうだったから同じもの買って、いよいよ履いていたものがダメになったからやっと卸した。
えりこ:もう口開いてたもん今自分。
一 同:(爆笑)
なつこ:両極端だね。面白ーいっ!
えりこ:靴箱も満タンやもん。普通に『捨てられない人』でしたわ……。
のすり:それぞれですね……。
南帆子:それぞれですねぇ……。
なつこ:ここの両極端はいいですね、ヒトトセさんとナマカベさん。説得力が増したわ。
南帆子:(笑)
テースターズ登場人物#5
【ヒトトセ】
201号室の住人。標識の名前以外、あまり知られていない。
さてさて、
テースターズ本日から始まります!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
この集合住宅には住居の他に「談話室」というフリースペースがある。「住民みんな仲良く平和的に」がモットーの大家が考案し設置したこの部屋は、住人たちがしばしば集まって会話をしたり趣味をしたり仕事をしたり好きなことが出来るようになっている。
ご近所付き合いが薄く儚くなっていくこのご時世でそんなもの機能するのだろうか?と思いきや、このフリースペースは大いに活用され、おかげで住人たちは大変仲良しだ(なんて都合のいいシステムだ)
今日はここで何かの会合があるらしい。
405号室のアサクラが部屋に入ると、神妙な面持ちのカネシロがひとり座っていた。この集合住宅の大家である。どうしたんだろう? アサクラが首を傾げる前にカネシロはむんずとアサクラを捕まえやや強引に中央のテーブル(5人くらいがかけられるテーブルだ)につかせる。なんだなんだと思っているとカネシロがアサクラにひそひそと耳打ち。どうやら302号室のナカモトさんと204号室のホンダさんが不倫をしているらしい。
えーっ!とアサクラ。この平和的な集合住宅に不倫という二文字はとても似つかわしくないワードだった。
二人の会話は大いに盛り上がった。
ドアが開く音。
また誰か来たようだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
京央惨事 本公演
『テースターズ』
2019年3月22日(金)〜25日(月)
於・新宿眼科画廊
脚本・演出
鐸木のすり(京央惨事)
出演
伊藤えりこ(Aripe)
加藤ひろ海(Spaceらぼ。)
後藤なつこ(Spaceらぼ。)
延原奨磨
花岡南帆子(京央惨事)
タイムテーブル
22日(金)19:30-
23日(土)14:00-/19:00-
24日(日)14:00-/19:00-
25日(月)19:30-
受付開場開始/各上演30分前
上演時間/70分予定
チケット料金
前売・当日 2,500円
チケット取扱い カルテットオンライン
https://www.quartet-online.net/ticket/ko3z201903
※チラシに付いている割引券を持参いただくと「500円割引」致します
ぜひご活用ください!
劇場でお待ちしてます!
*テースターズ座談会 おわり*
以下、脚注